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太宰side

A「うっ……ん」


太「ん?」


僅かに聞こえた声と、モゾモゾとした動きに目を覚ました
此方を向いて寝ているAは僅かに眉を顰めている


太「A、A」


A「んぅ…?」


声を掛けるとゆるゆると瞼を開けた


太「大丈夫かい?魘されてたけど」


そう云うと、目から一筋の涙を流した
目が虚なため、恐らく寝ぼけているのだろう


A「だ、ざい、さ…」


虚なその瞳は焦点があっておらず、不安気に揺れている
私は下にしている手で彼女の涙を拭う
そして、なるべく優しく語りかけた


太「大丈夫。私は此処に居るよ」


そう云うと心なしかホッとした顔になった

なったと思ったら伸ばした腕を辿って此方に擦り寄ってきた
所謂腕枕というやつである


太「え、あ、ちょっと、A、さん?」


声を掛けても時すでに遅し
完全に安心し切った顔をしたAは再び夢の中である

これは…まいったなぁ
そう思い、空いている方の腕で、誰が見ているでもない自分の顔を覆った


太「はぁぁぁ。全く、此じゃあ君が持ってきた枕、要らないじゃないか…」


そう呟いて、諦めて彼女を抱きしめて眠った


Noside

翌朝、寝室にて___

A「おはよう!太宰さん!!なんだか良く眠れた気がする!安眠だった!」


清々しいほど晴れた顔をしているAと、


太「おはよう。それは良かったよ」


何処か疲れている顔をした太宰がいた

無理もないだろう。己の想い人にあんな事をされれば、流石の太宰でも気が気ではなかった

が、この娘はそんなこと知る由もなく、容赦なく問いかける


A「何か太宰さん隈ある?」


太「そんな事ないよ」


A「そう?」


太「うん」


よく分からないが納得した顔をしたAは別の話題を持ちかける


A「太宰さん」


太「ん?」


A「今日も一緒に寝て良い?」


太宰は固まった
取り敢えず心を落ち着かせようとしていると、追い討ちを掛けるようにAは小動物よろしく首を傾げた


その瞬間、太宰は思考を放棄した


太「尊(いいよ)」


A「そん?」


太「尊(間違えた)」


建前と本音が逆になったのである


そして、数日間2人で寝ていたら、お互いに安眠を手に入れたとさ。めでたしめでたし


おまけ

inポートマフィア

A「ねぇ美琴。'そん'って何だろう」

美「は?'そん'?」

A「そん」

美「…そん?」

A/美「そん…?」

45.噂の最下級構成員→←.



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作者名:紫乃 | 作成日時:2023年1月30日 17時

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