. ページ4
太宰side
A「うっ……ん」
太「ん?」
僅かに聞こえた声と、モゾモゾとした動きに目を覚ました
此方を向いて寝ているAは僅かに眉を顰めている
太「A、A」
A「んぅ…?」
声を掛けるとゆるゆると瞼を開けた
太「大丈夫かい?魘されてたけど」
そう云うと、目から一筋の涙を流した
目が虚なため、恐らく寝ぼけているのだろう
A「だ、ざい、さ…」
虚なその瞳は焦点があっておらず、不安気に揺れている
私は下にしている手で彼女の涙を拭う
そして、なるべく優しく語りかけた
太「大丈夫。私は此処に居るよ」
そう云うと心なしかホッとした顔になった
なったと思ったら伸ばした腕を辿って此方に擦り寄ってきた
所謂腕枕というやつである
太「え、あ、ちょっと、A、さん?」
声を掛けても時すでに遅し
完全に安心し切った顔をしたAは再び夢の中である
これは…まいったなぁ
そう思い、空いている方の腕で、誰が見ているでもない自分の顔を覆った
太「はぁぁぁ。全く、此じゃあ君が持ってきた枕、要らないじゃないか…」
そう呟いて、諦めて彼女を抱きしめて眠った
Noside
翌朝、寝室にて___
A「おはよう!太宰さん!!なんだか良く眠れた気がする!安眠だった!」
清々しいほど晴れた顔をしているAと、
太「おはよう。それは良かったよ」
何処か疲れている顔をした太宰がいた
無理もないだろう。己の想い人にあんな事をされれば、流石の太宰でも気が気ではなかった
が、この娘はそんなこと知る由もなく、容赦なく問いかける
A「何か太宰さん隈ある?」
太「そんな事ないよ」
A「そう?」
太「うん」
よく分からないが納得した顔をしたAは別の話題を持ちかける
A「太宰さん」
太「ん?」
A「今日も一緒に寝て良い?」
太宰は固まった
取り敢えず心を落ち着かせようとしていると、追い討ちを掛けるようにAは小動物よろしく首を傾げた
その瞬間、太宰は思考を放棄した
太「尊(いいよ)」
A「そん?」
太「尊(間違えた)」
建前と本音が逆になったのである
そして、数日間2人で寝ていたら、お互いに安眠を手に入れたとさ。めでたしめでたし
おまけ
inポートマフィア
A「ねぇ美琴。'そん'って何だろう」
美「は?'そん'?」
A「そん」
美「…そん?」
A/美「そん…?」
168人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:紫乃 | 作成日時:2023年1月30日 17時