検索窓
今日:3 hit、昨日:1 hit、合計:11,522 hit

. ページ11

A「太宰さん、狙われてるの気づいてたよね。でも、避ける素振りを微塵も見せなかった。それは、何故」


きっと彼女は分かっているのだろう
今の彼女の言葉は、疑問の形式を取っているようで、その実、疑問ではないのだから
だから私は隠さず素直に答える


太「あれで死ねたら願ったり叶ったりだったからね。まぁそれも、Aに邪魔されてしまったけれど」


そう云うと、彼女は僅かに口を開いてから、そのまま何も云わずに口を閉じ、何やら思案し始めた
そしてもう一度、次は慎重に、口を開いてゆっくりと言葉を紡ぐ


A「…好きにしてくれて良いけど、私の前でそういうことするなら止めるよ」


太「…やめろ、とは云わないのだね」


A「私に貴方の行動を縛る権利はないから」


太「そ」


彼女の声は、僅かに憂いを帯びているように感じた
私はそれに対し、特に言葉を繋げることはしなかった



暫しの沈黙の後、彼女は思い出したように口を開いた


A「そういえば、あの任務の敵構成員の中に、練度の高い人達がちらほらいたよね。軍人崩れかな?」


確かにいた
恐らく私を狙撃しようとしたのも'それ'だろう


太「可能性はあるね。それにあの感じ、どうも彼等があの組織の仲間だと感じないのだよね。別組織が動いているかもしれない。調べてみようか」


A「ん」


私がそう云えば、微笑んで頷いた
しかし、今にも眠ってしまいそうなほど、今のAの目尻は垂れていた
私は少し笑い、目尻を撫でて問いかける


太「眠いの?」


A「ん」


そう問えば、彼女は私の撫でている手に擦り寄って短く答えた
私は続けて彼女に云った


太「眠って良いよ。私は此処にいるから」


すると、意識を飛ばすように直ぐに眠ってしまった
まだ傷も痛むはずだ
それなのに長話をしてすまなかったと思う


太「お休み。A」


彼女が不安にならないよう、私はまた、この場で作業を始めた






おまけ

美「A、大丈夫か?」

太「しーっ」

美「ん、なんだ、寝てるのか」

太「今寝たところだよ。タイミング悪かったね」

美「まぁ…また来ますよ」

太「うん。この娘も喜ぶだろうから、是非」

美「……失礼しました」

太「全く、君の拾ってきた子達は難しい子ばかりだよ
君の云う事以外、聞くつもりは毛頭ないらしい」

太「だから、早く元気になり給えよ。あの子達もきっと安心するさ。勿論、私も含めてね」

48.寂しくなくなるまで→←.



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.6/10 (54 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
168人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:紫乃 | 作成日時:2023年1月30日 17時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。