脇目も振らない話 (ページ13)

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誕生日(夢主) 5 ページ13

シ「…」

数分返事を待つが、何も言ってくれない
え、何これ。そっちの方が辛いんだけど？
もしかして、聞こえてなかった？

それか、もうダメ、なのかな
そう思って頭を上げた刹那＿＿＿＿＿

シ「…A」

そんな優しい声とともに包み込まれる
ぎゅっと優しく背中に回された腕
首元にうずくめられる顔

時々当たる吐息がこそばゆく、触れる度にぴくりと身体が反応する

シ「オレも、好きだ。付き合ってくれないか？」
貴方「…え」

今彼は『好きだ』と言った
私と同じ気持ちだと
付き合ってくれ、と言った

貴方「ほ、本当に？本当？」
シ「…おう」

まさかOKだとは思っていなかった為
何だか信じられなくて何度も『本当？』『嘘じゃない？』と聞く私

シ「本当だって」

そっと両手で顔を包み込まれる
ハグとはまた違った羞恥心に耐えきれず私は目をそらす

シ「昨日、聞いた時は『あぁ、オレ失恋したんだ』って思ってたから逆にこっちが本当かどうか聞きてぇぐらいだ」
貴方「ほ、本当だよ」

消え入りそうな声でなんとか口に出すと
ふふっと笑みを浮かべた

貴方「な、なんで笑うの」
シ「いや、可愛いなぁ…って思って」

『可愛い』そんな言われ慣れていない言葉
好きな人に言われて照れない訳もなく
だんだんと紅潮していくのが自分でもわかった

シ「なぁ、A」
貴方「何」
シ「キス、していいか？」
貴方「え？ちょっ、まっ…」

私の返事も聞かずにそのまま唇を奪われる
初めは優しく、触れるだけの軽いキス
一旦離れ満足そうに微笑む

貴方「っ…！！」

今度は長めのキス
何度も角度を変え、優しい雨のように降り注ぐ

そして

僅かに空けてしまった口の中にすかさず入ってくる私のモノじゃない舌
初めは舌先が当たるぐらいの浅いもの

だけどそれは段々と深く
ねっとりと濃厚になっていき
もうどちらの唾液か分からないほどぐちゃぐちゃになっていた

ちゅっ
ぐちゅ
ちゅう

と広がる甘い音と
時々漏れる甘い吐息が誰もいないリビングに響く

そっと離れていくシンタローの瞳はとろんとしていて
とても愛しかった
口と口と繋ぐ銀色の糸
それが途切れる前にお互いに唇を求め合い
最後に軽い口づけを交わす

シ「…愛してる」
貴方「うん、私も」

お互い見つめ合い笑い合う
あぁ、こんな幸せなことは無い

シ「あぁ、そうだ。A」
貴方「ん？何？」

.

.

.

シ「誕生日、おめでとう」

そんな甘い誕生日