無限の未来 15th season (ページ31)

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731話ページ31

【北斗】

今日はAの高校の同級生が来ていて、カメラも多めに入っていて、ジェシーが曲目を変えたこともあって、MC終わりがAのソロにチェンジ。

黒「あれ、お姉さん。ソロの衣装変えたの？」

「そうそう。昨日初日終わって、エイトさんに衣装使わせてもらいました～ってメールしたのね」

「そしたら…まぁ、安田大先生から、こっちの方がええやろと言われて。お下がりのスカートです」

Aがそんな風に衣装を紹介すれば、会場からは“かわいいー！”って聞こえてくる。

少し長めとはいえ、普通のスカートだから、左足は普通に見えている。

でも、オモイダマを歌うならと、安田くんが背中を押してくれた衣装だ。

「今回のツアー、ソロコーナーで私オモイダマを歌ってるんですよ。高校3年生の時の、甲子園のテーマソングでね。すごく背中を押してもらったというか」

「今思うと、奇跡的な巡り合わせやなぁって。あれって、毎回違うアーティストさんが歌ってくれるんやけど、それがたまたま…私の最後の夏にエイトさんで」

「知ってる人も多いと思うけど、わたしは元々関ジュやったから、一番お世話になった先輩なんよね」

そう言って、ポツポツと、エイトさんとの思い出と、この曲に込めた想いを話すA。

俺たちも、高校時代は離れていたから、知らないことがたくさんある。

最後の夏、エイトさんとAが対談していたことだって、今回この曲を歌うってなって、初めて知った。

「15歳で骨肉腫という病気にかかって、Jr.の活動をお休みして、初めてジャニーズの活動以外に打ち込めるものを見つけました」

「17歳の夏。生きるために…左足を切りました。左足は義足になって、それでも、仲間と甲子園の土を踏みたくて…必死でした」

懐かしそうな顔で、樹の方を見ながら笑うAは、きっとあの夏のことを思い出してるんだろうか。

俺の脳裏に浮かぶのは、つい先日、ようやく勇気を出してみることのできた、AIからオススメされた動画。

安田くんが、自分のスカート衣装をAに託したのは、きっと、そういうことなんだろう。

昨日は語ることのなかった、Aがこの曲に込めた想いだった。