546話 ページ46
【慎太郎】
「おはよ、慎…。来てくれて、ありがと。それと…龍ちゃんにも」
緑「あー、いーのいーの。それより体調は？」
「うん、大丈夫。だいぶ楽なった」
普段なら寝起きも悪いAだけど、今日は珍しく、スッキリ早起き。
まだ体調が戻りきらないのかと、初めこそ心配になったけど、体調もだいぶ落ち着いて、顔色の良くなってきたAに一安心。
黄「あ、お嬢起きてた？」
緑「うん、起きてた。熱もないし、体調良さそうだったよ〜。うお、いい匂い」
黒「A、朝飯食うか聞いてきて」
緑「あ、おっけ〜」
着替えを済ませてゴロゴロとベッドで緩やかに過ごすAに声をかけても、ご飯はいらないって言う。
そんなのお構いなしに、もう一度Aを起こしに行って、強制的にブランチをスタートさせる北斗。
黒「うーちゃん、11:30には着くって」
「樹くん、千葉から直？」
緑「んーだね、帰りはこっち〜」
「うーわ。あの人…めっちゃ楽しんどる…」
そう言って俺に、樹から送られてきた写メが向けられると、そこには満面の笑みで、兄ちゃん達と某テーマパークではしゃぐ樹。
楽しめたようで何よりだし、ここ最近遊びたい欲の溜まっていたお嬢様に、ちょっとでもその楽しさをお裾分けしてあげたかったんだろうけど、
樹、残念…お嬢様は不服だったみたい。
緑「また連れてってあげるってば。ほら、食った食った」
「治療ひと段落つくまで我慢してるのにぃ…」
黄「A、置いてかれるぞ。早く食べな」
「あーい…」
分かりやすく落ち込むAを宥めながら、俺たちも支度に入る。
事務所へ向かう途中届いた、“聖からお土産あるよ”っていう樹からのメッセージに、これまた分かりやすくテンションの上がったAを見て確信。
多分、こいつ今不安定。
急に色んなことが変化し始めている今、また切羽詰まってきてるかなって。
同じタイミングで、車内にいたメンバーは気づいていたのか、目配せされた。
やっぱり頼もしい兄貴たちだ。
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作者名：かん。
| 作成日時：2020年12月15日 20時
