無限の未来 11th season (ページ44)

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544話ページ44

【北斗】

「ほっくん…」

黒「あれ？どした…おぉおぉ、ちょ、一回座ろう…」

横アリ公演まで残り2週間に迫っている今日は、放射線治療を受けてきたAは、レッスンを休んでいた。

今日に限って、樹はしばらく実家に帰ってしまっている期間だし、高地は今日帰ってくるのが遅い。

でも、今この状況を思うと、俺一人で対処するのは難しい気もする。

黒「あ、もしもし…慎太郎？うん。サンキュー、助かる。鍵開けておくわ」

メンバーチャットにメッセージを送れば、すぐに慎太郎が連絡をくれて、一安心。

部屋に戻ると、座っているのもしんどかったのか、壁に体を預けてグッタリとしているA。

緑「Aー！北斗ー！あ、ごめん。うるさかった？これ兄ちゃんが持っていけって」

黒「あー、助かる。ありがとう」

緑「A、しんどいー？」

「ん、さっきより…大丈夫…」

ソファにもたれて、目を閉じたまま答えるあたり、しんどさは相当なものなんだろうけど…

「このくらいは…慣れてるから…」

やっぱりそう言うよね、って、慎太郎と2人思わず顔を見合わせてしまった。

ピコンピコンと鳴り止まないケータイを見れば、今からでも帰ろうか？と樹からの絶え間ないメッセージ。

実家に帰ってる理由も分かってるから、個人的に“慣れてるから大丈夫だって”と送ってやれば、今度はAのケータイだけが鳴る。

黒「目眩ひどいみたいよ」

青『なんでお前が出んだよー』

黒「A、樹。声聞く？」

「ん。ありがと…」

俺って来た意味ある？って苦笑いする慎太郎と、リビングで色々準備をしていれば、仕事を終えた高地も帰ってきて、最初は1人だったことを思えば心強い限り。

部屋に戻れば、少し楽になってきたのか、体を起こして樹と慎太郎と3人でテレビ電話をしている姿に、ホッと胸を撫でおろす。

電話が終わる頃には、体力が限界なのか、もうほとんど慎太郎が支えている状態だったけど。

緑「眠くなると世話やけるね、こいつ」

まぁ、その方が好きなんだけど…って慎太郎が苦笑していたのには、さすがに俺も笑った。