無限の未来 11th season (ページ43)

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543話ページ43

【大我】

『大我くん～、録画パソコンに送っておいた～』

桃「あ、助かる！いつもありがとう」

単独公演を月末に控え、リハーサルや場当たりが詰まっているものの、俺はミュージカルの地方公演が続いていて、なかなか参加できない日が続いている。

そんな時に大活躍してくれるのが、Aの動画。

Aは後遺症のカバーのために、常にレッスンやリハを動画に残していて、今回はその動画を毎回送ってくれている。

桃「メモも、すごく分かりやすかった！」

『あ、写真あった？』

桃「うん、うーちゃんに送っておいた」

『何か分からないのあるー？』

桃「メモにさ、“今度みんなで決める！”って書いてあったところあるじゃん？あそこさ…」

動画を送ってもらったときは、必ず電話でAと話すようにしている。

きっとハードなスケジュールを送っているから、声を聞くことで、少しでも自分自身が安心をしたいんだと思う。

桃「体調は？昨日、抗がん剤だったんだよね？」

『んー、いつもと同じくらいかな？ダルいなぁって思うときはあるけど、休憩しながらやってる』

桃「そっか！最近調子良さそうだけど、ちょっとでもおかしいと思ったら、誰かに言うんだよ？」

『大我くん、お兄ちゃんみたい』

桃「しばらく会えてないと、心配なんだって」

人の心配をしている場合ではないんだけど、それでもやっぱりAのことは心配。

ほぼ毎日のようにメンバー誰かしらと連絡はとっているから、情報としては入ってくるけど、本人から聞くのとはやっぱり違う。

早く、メンバーに会いたいな…なんて思った自分に、少し驚いてしまう。

“グループは似合わない。1人の方がいい”

そんな風に言われたこともあったし、自分でもそう思っていた時期だってあった。

だから、グループ“っぽい”だけで十分だって、そんな風に思ったりもした。

『大我くん、こっちはこっちで頑張るから、無理せんと、大我くんも頑張ってきてね』

桃「ん、ありがと」

今は、帰る場所があるから…だから一人でも頑張れるんだって、そう思える。