無限の未来 11th season (ページ24)

今日:16 hit、昨日:19 hit、合計:87,357 hit

524話ページ24

【北斗】

病院に来る頃には、もうだいぶギリギリだったみたいで、されるがままのA。

Dr.「Aちゃん、さっき吐き気止め入れたからね。もうちょっとで効いてくるからねぇ」

「ｹﾞﾎｯ……ｯ、ｳｴｯ…ｺﾞﾎｺﾞﾎｯ…」

熱だけ測ってもらってっていう指示が聞こえてきて、初めてっぽい看護師さんが入ってきた。

それを横目に見たAは…拒否をした。

病院でこんな姿を見るのは、なかなかあることじゃなくて、あったのは、昔一度、入院中に治療を拒否して抜け出した時以来な気がする。

黒「あの…落ち着いたら、俺ら測っておくんで…」

そっぽ向いてまで拒否しちゃったAを見て、何かもう限界を迎えてるんだろうと感じて、控えめにそう言えば、手渡された体温計。

思いのほか、俺にはすんなりと測らせてくれて、樹と2人顔を見合わせる。

青「まだあっちぃね」

黒「んー、でも…37.7℃」

「…」

ギュッと固く目を瞑って、吐き気と闘うAは、あの後も入れ替わり立ち替わり入ってくる看護師さんには応じなくて。

俺たちの呼びかけには反応してくれるから、ダルくてなにもできないってわけではない。

青「ねぇ、A。看護師さん、困ってたべ…？」

樹がそう声をかけても、ただ小さく首を横に振るだけで、俺らもこの件に関してはお手上げ。

だから今は、もうその話題には触れずにいこうかなって感じ。

なんとか薬は効いてきてくれたみたいで、徐々に俺の手を握る強さも緩やかになってきた。

顔色は全然戻ってこないのと、ちょっとまだ手は震えてるけど。

寒い？って聞けば、小さく頷くんだけど、先生呼ぶ？看護師さん呼ぶ？って聞くと全力で拒否だから、仕方ない。

Aには俺と樹の着ていた上着をかけてやった。

青「なんか…急だったな」

黒「うまくいってないみたい、治療。さっき慎太郎からLINEきてた」

青「なるほどねぇ」

あまり強く症状が出てない分、それと検査の結果が噛み合っていないことに、苦しんでいるAに、気づいてあげられなかった。