521話 ページ21
【慎太郎】
年が明けてからの、ジャニーズJr.総出のステージはそれなりに順調に進んでいた。
同時並行で、Aの治療も再開はしていたものの、こちらはなかなか思うように良くはなってくれていなかった。
「あんまり、効果出とらんっぽい…」
緑「そういう時は、笑わなくっていいの。おいで」
「A、もう泣かへん…よ…」
緑「うん、いいよ？」
悔しくないはずもないし、焦ってないわけもない。
治療を受ければ、それなりの結果をやっぱりどこかで期待してしまうわけで。
というか、そのために治療をしているんだから。
宣言通り、泣くことはないA。
でも、グッと俺の服を握るその手は、小さく震えている。
緑「しんどくない？」
「ん…ちょっとダルい」
緑「熱だけ測っとこっか。…んぅ、38.4℃。たっけぇねぇ〜。よく本番中耐えたな…」
「たぶん…ふくさよう…」
そう言ってギューっと俺にしがみつくAを、楽屋に入ってきた樹が捉えて、ふざけて怪訝そうな顔を向ける。
そんなんじゃないって、って目で合図をすれば、ちっちゃい声で“冗談だよ”って。
青「あったけーな、赤ちゃんかよ」
緑「熱あって…」
青「そ。A、寒いー？」
「ちょっと、寒い…」
明日も公演は続く。
他のみんなだって、色々抱えながらやってるんだからって、Aは強がるけど、やっぱり俺は心配で。
熱が出たとなれば、たとえ感染ではなく副作用とはいえど、安心なんてできないし、貧血となれば、本心を言えば出ないで欲しいって思ったりもする。
青「よし、帰ろっか。明日も頑張ろ」
「ん、ありがと…」
誰よりもAに対して過保護で慎重派の樹が、最近はこんな感じの対応なことに、俺は素直にすげぇなって思ってる。
俺もこんな風に、グッと堪えてAのことを見守れるようになるのかな。
青「慎太郎は、慎太郎らしく。その方が、Aは喜ぶと思うよ」
この男は、なんでもお見通しだ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 168人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「SixTones」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：かん。
| 作成日時：2020年12月15日 20時
