無限の未来 4th season (ページ8)

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158話ページ8

【勇人】

“A、急変した”

試合終わり、兄貴から来ていた数時間前連絡を見て、クールダウンもそこそこに病院へ飛んで行った。

病室に行ってもAの病室には誰もいなくて、バタバタと忙しそうな詰所で顔見知りの看護師さんを見つけ、慌てて聞けばAが緊急で手術になったとか。

手術室の前には、憔悴しきった兄貴と、真っ赤に泣き腫らした目をした弟、そして、不安そうに俯く樹がいた。

勇人「どういう…こと…」

Aの異変に気づいてくれたのは、偶然お見舞いに来ていた樹だったみたいだ。

聞けば、ここ数日のAは、高熱がぶり返し、肺炎を併発していたりとかなり体調が悪かったらしい。

それを知ってか知らずか、ここ数日は毎日のようにお見舞いに来てくれていた樹が最大の異変を感じたのは、無菌室のAと普段のように電話で話している時。

青「A、俺…来た時から、熱、高くて…。昨日も、結構しんどそうだったし、やめようと思って…。ナースステーション、いつもの看護師さんいたから、今日はしんどそうだから帰るって…声かけた」

勇人「ん…」

青「でも、顔見ないと…A、樹くん来なかったって…悲しくなると思うからって、看護師さんが…気利かせて、会わせてくれ…」

勇人「そっか。…会えたんや」

青「ん…会えた…」

高熱がぶり返してきてからは、なかなか会話が成り立たないことも多かったが、今日はいつも以上にひどい吐き気に襲われたり、会話もいつも以上におかしかったという。

それでも、Aは樹を認識して、話がしたいって何度もお願いをしたみたいで。

高熱も相まって、意識が朦朧としているのはそのせいかと思っていた樹が、やっぱりもう話はここまでにしておこうと伝えた直後、容体が急変したらしい。

青「だんだん…Aがぐったりしてきて…声かけても、反応がほとんどなくて…。これおかしいなって、ヤバいなって思って…先生たち、呼ぼうとして…。そしたら…急にっ、Aがっ…が…ガタガタ痙攣っ、し始めてっ…」

カタカタと小刻みに震えながら、一部始終を伝えてくれた樹に、申し訳なさが溢れた。

グッと抱き寄せてやると、樹がワンワンと泣き始めた。

怖かっただろう、それでもずっと俺たちの妹のそばにいてくれたことに、感謝しかなかった。