無限の未来 4th season (ページ43)

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193話ページ43

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「ほんまは、全部隠して…。なんてことないよって、大丈夫だよって、みんなの前では笑ってたいんやけど…。それが、今の私にはできんくて。それを、しようとすると…かなり、無茶せなあかんくて…」

そんなこと、みんなの前で言いたくなかった。

言いたくない、隠したいっていう、ちっちゃな、ちっちゃな私のプライド。

でも、それは…もう捨てるって、決めた。

プライドなんか…。

そんなちっちゃなプライドを捨てて、みんなと過ごせる時間を…ちっちゃなプライドのせいで無茶して、削らずに、捨てずに済むのなら。

別なプライドを、持つことができるなら。

「あと、少し…。甲子園、みんなと行きたいから…。助けて…ほしい」

2週間に1回の抗がん剤治療では、思ったよりも副作用が強く出ていて、想像をしていたよりも、抗がん剤を打った次の日は、思うように練習に出られるような体調でいられないこと。

幻肢痛の話もした。

今もまだ、頻繁に幻肢痛が出ていて、正直眠れないまま、自分を騙して練習に出ている日もあること。

誰も、笑う人もいなければ、同情する人もいない。

ただ真剣に私の下手くそな話を聞いてくれて、過剰に心配することも、避ける人もいない。

「私は…甲子園へ行きたい。でも一番は、みんなと…野球をしてたい」

入院ではなく、通院での治療を選んだ理由。

色んなことをみんなに伝えながら、本当に自分が野球を大好きになっていたことに、このチームが好きになっていたことに気付いた。

佐野「俺は…多分、Aほど本気になれてなかったと…思った」

吉野「…何が、できますか？」

ほとんど何も知らない1年生も、知ろうとしてくれる。

何かできることはないかと真っ直ぐな目を向けてくれる。

でも…。

「野球を、みんなが楽しく野球してる姿が見られたら、それでいい…」

そんな言葉しか出てこなかった。

数原「体のことは、俺たちでも…できるだけカバーする。だから、遠慮なく頼れ。誰でも。んで…もうひとつは、絶対、甲子園に行こう」

片寄「甲子園へ行きたいっていう思いは、多分お前が一番強い。きっと…俺たちじゃ、到底敵わない。けどな…」

お前と甲子園に行きたい気持ちなら、絶対負けん…って、力強く言ってくれた片寄の言葉に、不意に涙がこぼれそうだった。