無限の未来 4th season (ページ32)

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182話ページ32

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退院して戻ってくれば、いつも通りのやかましさで、賑やかに迎えてくれる寮生のみんな。

そんな騒がしい、ほんの少し離れただけの日常が、ものすごく心地よくて、安心できる空間だった。

放射線の治療は終わり、後は外来での抗がん剤治療。

これまでの副作用の出方を考えたら、外来で治療を受けることが、すぐに助けを求められる環境といえないことが、ほんの少し不安ではあるけど、それでもやっぱり外来で治療を受けて、ここに帰って来たい。

片寄「A、飯やで～。食堂、降りておいで」

「はいはーい」

片寄「ど？キリつけられる？」

「ん、大丈夫。今行く〜」

試合のない今の期間は、選手だって余裕があるからと声をかけてくれて、1年生が当番で食事の準備をしてくれる。

普段は私もお手伝いするんだけど、退院したばかりで、思ったよりも調子が上がらなかった今日ばかりは、ちょっと甘えさせてもらった。

吉野「Aさん、ご飯少なめでいいですか？」

「うん、ありがとう～」

吉野「全然ですよ！まぁ〜…俺にできるの、このくらいなんで」

「んーん、こっちこそ全然だよ。助かる！」

1年生が入ってすぐに再発が見つかって、そこからは入退院繰り返していたし、新チームになったそこに馴染めるか心配してた数ヶ月前が、まるで嘘みたい。

人懐っこい選手が多い1年生。

今はそんな後輩たちのおかげもあって、当たり前のようにチームの1人になれて…この子たちと、もう一度甲子園に行きたいなぁって、そんな思いでいっぱい。

片寄「ミーティング、9時からな」

「ん、サンキュ」

片寄「出れそう？疲れてない？」

「ん、大丈夫、大丈夫」

一番過保護な片寄に、大丈夫だとアピールするように親指を立てる。

ミーティングまでの時間、それぞれが思い思いの時間を過ごす。

ランニングへ出る者、室内でのバッティングに向かう者。

私はそんな彼らを見送って、自室に戻る。

もちろん夏まで、ここから離脱をするつもりはない。

でも…自分の体のことだ。

いつ、何があるかわからないっていう、そんな覚悟だってしている。

そうとまではいかなくても、いつまた長期の入院になるかわからないことだって、自覚している。

だから、どうなってもいいように、いつでもみんなに託せるように、準備をするんだ。