無限の未来 4th season (ページ18)

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168話ページ18

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悔しかった。

めちゃくちゃ、悔しかった。

たった1週間すらも耐えられなくなってしまった自分の体が、とにかく恨めしかった。

そんな悔しさをぶつけるみたいに、想ってくれた数原のブレーキに反抗して、無茶しようとして…。

「ｸﾞｽｯ…」

数原「…悔しいか？」

「(ｺｸﾝ)」

数原「…俺も、悔しいわ。お前が、そんな悔しがってんのが、俺は悔しい」

1年前、初めての地獄と呼ばれる冬合宿をみんなと一緒に耐え抜いて、ひとまわり強くなれた気がした。

それなのに、それからしばらくして見つかった再発。

起こってしまったことは変えようがないから、それでも生きたいから、治療にも真面目に取り組んで、やっと手術がうまくいって、リハビリも頑張って…。

それなりに、覚悟決めて…片足、失った。

そんな状態で、なんとかたどり着いた甲子園のベンチで、来年こそ同期と…って、そう誓った。

「生きる、ために…左脚、失くして…。だから、もう、大丈夫やって…勝手に、そう思ったら…して…。やから、転移…なんか、してると、ﾊｧｯ…思わんくて…ﾊｧﾊｧｯ…」

数原「うん」

「手術しても…ﾊｧｯ、呼吸機能は…落ちるし…ﾊｧ、脳は、抗がん剤…しなきゃっていうし」

数原「そういう、ことやったんか…」

「そんな、どうせ…どうせ、どうなるかわからんのやったら、しんどくても……ﾊｧたとえ、ﾊｧダメになるとしても…みんなといること、選びたかった…ｯ」

そこまでして、治療を中断すると決めたのに、これじゃぁなんの意味もない。

みんなの必死になるところを、側で見ていたかった。

ちゃんと、証人になりたかったんだ。

そんな気持ちを、全てわかっているように、数原は笑っていた。

数原「大丈夫だよ、A。耳すましてみ？…聞こえるやろ？グラウンドの声。室内の音…」

「…うん」

数原「お前は、ちゃんと俺たちのこと、心で見てくれてるやん。一緒にいるだけが、見守ることちゃうで？仕事せなマネージャーやない、とも思わん。お前は、ちゃんと俺たちのこと、思ってくれてるんやから。おってくれるだけでも、充分俺らは支えられてんねん」

普段寡黙な数原が、そんな風に思ってくれてるなんて思いもしなかった。

優しく頭を撫でてくれる数原に、今は少し、甘えてしまいたかった。