. ページ15
夢を見た。
もう、頑張ることに疲れて。
どうしていいか分からなくて。
「もう…がんばりたく…」
ここがどこかは、分かんない。
でも、真っ白な道の先に…ちょっとだけ光が見える。
「…ま、ま？」
私よりも幾らか年上に見える、かわいらしい女性。
何度も写真で見た、優しい笑顔。
『A』
「…っ！」
ママって…こんな声、してたんだ…。
ふわりと広げた両手で、そっと私を包み込んだママ。
“よくがんばったね”
それは…ずっとずっと、誰かにかけて欲しかった言葉。
“怖かったね。…苦しかったね”
誰かに…ママから受け取りたかった、その言葉。
頑張っても頑張っても報われない、そんなやるせなさも。
その度、自分は愚か…家族の期待さえ裏切ってしまう悔しさも。
いつ治るか、終わりの見えないこの闘いへの恐怖も。
どうしたって自分一人の問題で済ませららない苦しさも。
「誰か…わかって、欲しかった…っ」
『ふふっ。でも…わかってもらえる自信、なかった？』
「なんで…っ」
『分かるよ。…ママも、そうだったもん』
同じだよ、わかってるよって…ずっと見てたからねって。
どこかで、都合のいい夢の世界だってことはわかってたけど…今のわたしを、何よりも救ってくれた言葉だった。
『ねぇ、A？…パパと、にぃには、必ず分かってくれる。分からなくても、時間をかけて、分かろうとしてくれる。だから…ぶつかってもいい。ぶつかってももいいから、ちゃんと伝えなさい。むしろ、ぶつかっておいで？…大丈夫。そんなことで崩れるような家族じゃないよ。ママが、保証する！』
ニッコリ笑ったママの笑顔は、とっても温かかった。
『どんなに泣いてもいい。どんなにパパやにぃにとぶつかってもいい。でも…絶対に、命を粗末にすることだけはしないこと。そんなことするくらいなら…』
“ママと命、交換っこしてよね！”
ぷーっと膨れっ面でそんなことを言うママは、ちょっと…可愛かった。
目が覚めて、にぃにと、パパと全力でぶつかったあと。
“本気でそんなこと思うんだったら…本気でもっと生きたかったママと…命、交換してこい”
ママと、同じことを言ったパパ。
大丈夫…。
わたしは、優吾ともう一度繋いだ命で…ちゃんと、生きるから。
-Fin-
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 575人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
かん。(プロフ) - そらんさん» リクエストいただきありがとうございました☺︎短編��にてお話アップさせていただきました！大変、お待たせいたしました。これからも、作品共々よろしくお願いいたします！ (7月30日 22時) (
レス) id: bd45e6ad2b (このIDを非表示/違反報告)
かん。(プロフ) - さくらさん» リクエストいただきありがとうございました！続編にて、お話書かせていただきました☺︎おまたせしてしまい、すみません。。また、他のお話もお楽しみいただけたら嬉しいです！これからも、よろしくお願いします❤︎ (7月3日 20時) (レス) id: bd45e6ad2b (このIDを非表示/違反報告)
かん。(プロフ) - ピンクBlackさん» リクエストいただきありがとうございます！お時間いただいてしまいすみません。。続編にて、お話完結となります☺︎お楽しみいただけていたら嬉しいです！ (6月11日 20時) (レス) id: bd45e6ad2b (このIDを非表示/違反報告)
そらん - いつも楽しく読ませていただいてます！かんさんの小説が大好きです！リクよろしいですか？のせいでもないし、誰にもどうしようもの続きで、ルンバ−ルで痛くて過呼吸起こしてしまうのをもし書けたらでいいのでお願いします！ (5月12日 2時) (レス) id: 586b465d2d (このIDを非表示/違反報告)
さくら - リクエストさせていただきたいです!!本編の220話でほっくんがdtskと詰所に行ったかと思いますが、その詰所でどんなこと話したのかとかどんな時間過ごしたのかのお話お願いします。昔の甘えん坊になってる感じなのかなっておもいます。特にskには甘えてそう (2023年4月18日 22時) (レス) id: 3f90d4971e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：かん。
| 作成日時：2023年1月5日 21時
