君の色だったから ページ2
ドタドタとした足音がドアの向こうから聞こえてくる。
あぁ、鬱陶しい奴が来る。
思わずため息が出た。
「田噛ぃー！！」
案の定その足音は俺の部屋の前で止まり、けたたましいドアが開く音と共にうるさい奴が部屋に入ってきた。
チラッと漫画の隙間からそいつを見る。
そいつ……ミヨは白くて長い髪を揺らし大きな桃色の瞳を輝かせながら「おーいー！たーがーみー！！」とおれの体をベチベチと叩く。
毎回思うがこいつは平腹の見た目が女になったんじゃないかってくらいうるさい。
そして馬鹿だ。平腹とセットだと鬱陶しい事この上ない。
このまま無視を決めてもいいが、あまりにもうるさくて漫画の内容が全然入ってこねぇ。
仕方なく漫画を置き、「うるせぇ」と一喝する。
しかしミヨは怯えるどころか反応してくれた事が嬉しかったのか「なぁなぁこれ見ろよ！！」と、笑顔で俺に自分の手を見せる。
話を聞け。
「これ、きれーだろ！！？」
ずいっと出されたので否が応でも目に入る。
ミヨの白くて長い指の先には普通の白い爪の色をしていなくて、橙色のマニキュアが塗られていた。
「………お前でも女みたいなことすんだな」
「俺は女だー！！なぁなぁ、綺麗だろ？これ！今日なー！」
マニキュアなんて女子力とは程遠いミヨがするなんて思ってもいなかったので、感心した様子で言うとミヨが怒ってきた。
全然怖くねぇが。
だかすぐにそんなことどうでもいいかのようにマニキュアについて話し始めた。
「これな、店のガラスに並んでたんだ！綺麗だったからじーっとみてたら、店の奴が出てきて『塗ってみますか？』って言ってきたんだ！！
『何色が良いですか？』とも聞かれたからオレンジがいいって答えた！！」
「……なんでオレンジなんだよ。お前ならピンクじゃねぇの」
ミヨの目元に手を伸ばし、周りを触りながら興味の無さそうに答える。
ミヨはくすぐったそうに顔を揺らし何かを思いついたような顔をする。
「そっかー！！俺の目の色ピンクだもんなー！でも、田噛はオレンジだろー？」
俺、田噛好きだしー！！
なんて言いながらミヨは俺と同じように俺の目元を手で触れる。
くっそ、なんでこんなに可愛いことしかしねぇんだよ。
ぐいっと俺の顔に触れているミヨの手を引っ張った。
「うおっ？」と声を出しているが小さい体のため、いとも簡単に俺の腕の中にうまった。
ミヨから甘い匂いがふわっとした。
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作者名：アップルパイ | 作成日時：2018年2月15日 2時
