DATE7 ページ8
「あ、ようやく気がついたようだね」
向かっていくと、先ずは金髪の男性が私達の存在に気がついた。
金髪男性の言葉で、人々の注意は私達に切り替わる。
その時一瞬だけ、トクの顔が険しくなったような気がした。
横目だったから自信はないが、トクがこうも露骨に表情を変える様をあまり見たことがなかったから、多分本当に険しくなったんだと勝手に思っておく。
「んじゃー全員揃ったことだし、自己紹介タイムを始めようかい、サラちゃん?」
サラ
「え?あ、はい」
金髪男性は周りを見渡し、意外なことに開始するかを先ほどの女子校生に確認した。
サラと呼ばれた彼女は急に話を振られ戸惑った様子だったが、勿論了承し、「オーケー」と男性はもう一度話しを仕切り始めた。
-自己紹介-
ここにいるのは、私を含めて13人。
そのうち男は7人、女は6人だ。
「えー、つーワケで、オレ達はお互いをよく知るべきだと思いまーす」
金髪男性から話しは切り出される。
確かに今まで失念していたが、ここは知らぬ場所、今私達がどういう立場にいるか、帰れるのか、そもそもの安否すら何も確かなものがないのだ。
そうなれば、今ここにいる人達の中で疑心暗鬼になるのは得策とは言えない。
「にゃんでー?知らないおじさんに個人じょーほー教えたらいけないってママに言われてるワン」
「素晴らしい!親の教えを守る、しっかりした子ですねぇ…!しかし確かに今は緊急事態…むむむ。ならば我々大人が怪しい人間ではないことを証明しなくてはなりませんねぇ…ククク」
言葉を続けたのは、変わった服装をして、何かの動物のクッションを手にした子供だった。
言葉の拙さはまだ残っているが、やけにしっかりした子供だ。
それに対して、癖のある白髪をしたスーツ姿の男性が称賛の言葉を浴びせる。
言動からはとても紳士的な印象を……残念ながら受けない。
見た目で人を判断するのはあまり宜しくはないだろうが、見た目も大事な判断要素の一つであるのは事実だ。
「うわぁ…怪しいワン」という子供の言葉に、トクまでもが小声で「わかる」と賛同していた。
「仕方がありませんね、何から話せば良いでしょうか」
「なーに、簡単な事でいい。名前と職業…順番に言ってみよー」
長い髪を持っているが、声の高さ等から恐らく男性であるエプロン姿の男は、お玉を口元に当てて考える素振りを見せる。
それに金髪男性が答え、いよいよ本格的に自己紹介が始まった。
20人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ