DATE4 ページ5
A
「古くならない……劣化……」
トク
「チーズ…納豆…ベーコン……」
ダメだ、焦れば焦るほど考えはパターン化してくる。
額に手を当て、深呼吸し、連想できるワードをできるだけ引き出す。
A
「食べ物……燻製……乳製品……発酵……」
トク
「乳製……あ、わかった!」
A
「嘘、トク凄い…!」
ぶつぶつと考えていると、トクは弾かれたように立ち上がり、端末に文字を打ち込んでいく。
私が感心していると、端末から“ピンポーン”とふざけた効果音が流れた。
A
「トク、今のって正解は____」
トク
「んー、説明は後なっ……問題二。“タン“はちび、“チョウ”はのっぽ、“ビョー”はもっとのっぽ。この中で最も速いのは誰?」
A
「…ごめん、わかった」
トク
「なんで謝んだよ、A」
二問目は意外とあっさりわかってしまった。
……助かるから嬉しい筈なのに、舐められている感覚がどうも鬱陶しい。
どうやら打ち込みはスマホと同じ方法で良いらしい。
文字を打ち込むが、字が赤いのがまた悪趣味だと思う。
…タンは短針、チョウは長針、ビョウは秒針、時計の針だ。
なら一番進みが速いのは……
A
「ビョウ、理由は秒針だからっ……!?」
あの効果音と共に、何か白い気体が部屋に充満する。
アナウンスで言っていた、微毒性のガスはこれだろうか。
だとしたら、もう二分もない…!?
不安がまた胸にのし掛かってくる。
A
「も、問題三!一人の時は本を読む。二人の時は死にかける。最後は皆で手を合わす。これは一体何の事…!」
トク
「……さっさと終わらせないと、不利だね」
きっと微毒性なのだったら、時間が経てば頭が回らなくなってくるのだろう。
こういう時、冷静でいられる親友は素直に凄いと思う。
視界が白く霞む中、緊迫した空気が張りつめている。
まさかなぞなぞにこれ程苦しめられる時が来るとは思いもしなかった。
A
「と、とにかく言い換えようっ……」
トク
「…ん、そだね。頑張らなきゃね…ここが踏ん張り時だよ、A」
A
「reading…手を…食事?」
トク
「死にかけるったって何だよ……」
中々に解けない。
苦しい。
まだ毒は回りきっていない筈なのに、息が上手く吸えない。
……弱気になるな、私。
朦朧とする中、思い付く限りの全てを言葉に出す。
A
「読書……あ、合掌!」
トク
「てことは重症、なら答えは……歌か!」
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