DATE22 ページ23
A
「今日初めて会った人達、しかも男性がいる中であんな醜態を晒すような行為は許しませんから！」
トク
「へーへー…悪かったってば、はいはい」
トクの肩を揺さぶりながら、虎視眈々と説明する私に、トクはいかにも面倒くさそうに謝る。
昔からいつも、トクは自分が女子だという自覚が足りていない。
学校でも、男子がまだ教室にいる中、普通にブラウスのボタンを外し始め着替えを図るし、外出の時にスカートなんて着ようものならダッシュしまくりでスパッツなんかが丸見えになる。
彼女自身が良くても、周りは良くないかもしれないのに…と、そういう事には煩い私は思う訳なのだ。
適当なのが見え見えなので、こちらもついネチネチと説教を続けてしまう。
トク
「わかった、わかったからさ…とりあえず、後ろ向いてみな？」
ただ「うんうん」と頷くマシンと化していたトクだったが、急に私の肩をポンポンと叩く。
言葉通りに後ろを向くと、男性陣の視線が向けられていた。
カイさんは「何をしているんだ」と云わんばかりの凍りつくような冷たい視線だし、ケイジさんに関しては笑いを必死に堪えて悶えている。
ジョーさんはまさに鳩が豆鉄砲を喰らったような顔で唖然としており、Qタロウさんは複雑そうな顔をしている。
底知れぬ恥ずかしさで、男性陣から視線を外しトクの方へと振り返る。
A
「な、何か悪いことしたっけ……」
トク
「いやー、純粋に面白かったんじゃない？」
面白かった、と言われても…私にはコントをしたつもりなど一切なかった。
彼女に注意する時は、毎回と言っていいほどこんな流れだ。
初めて見る人にはこれが滑稽に見えたのだろうか。
ジョー
「……Aって、もっと大人しくてザ・静かって感じだったけど…案外面白いのな！」
ケイジ
「二人とも息ピッタリだったねー…お巡りさんつい吹き出しそうだったよ」
失礼ながらにも間抜けな顔だったジョーさんだったが、爽やかな笑顔でこちらに寄ってきた。
腕を組まれてたじろいでいると、ケイジさんまでジョーさんに同調する。
他の二人は声にこそ出さなかったものの、おだやかな目でこちらを見ている辺り同意見なのだろう。
トク
「良かったなーA。バッチリウケてるっぽいぞ」
A
「……ははっ」
トクの明るい朗らかな笑顔で、先ほどまでのちょっとした苛つきや羞恥心なんかが吹き飛ぶ。
つられて笑顔を見せると周りも笑いだし、少しの平穏が訪れた。
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