DATE20 ページ21
A
「まずはどこへ向かいましょうか…」
選択肢は三つ、それぞれ別の部屋へと続いているようだ。
トク
「適当で良いじゃん、どこからか行っても結果は同じかもよ？」
ケイジ
「適当…ねぇ。じゃあ今回はトクちゃんの勘に任せようかな？」
トクは三つの通路を見比べながら、興味なしと云わんばかりに適当に返事を返す。
ケイジさんはまたもや他人に決定権を譲っていくし、少しばかり不安が募る。
トク
「じゃあここで良いね？」
トクは面倒そうに目の前にあった道を指差し、返事も待たずに先へと進んでいく。
ツカツカと靴の音をさせながら、あっという間に廊下の向こうの暗がりへと消えていった。
それを私は慌てて追い、ケイジさんもゆるりとそれに続く。
トクに追い付いたその場所には、“GAME”と書かれた妙な色合いとセンスの掛け看板があった。
奥にはすりガラスで仕切られた喫煙所も見えている。
トク
「見る限りゲーセンっぽいね」
A
「とりあえず入りましょうか？」
連れ去られてきてそこに娯楽が用意されているなんて怪しさが否めないが、調べない訳にはいかない。
横に一連に並んで身長差を痛感しながら、部屋へと入っていった。
ケイジ
「随分とすっからかんだねー」
トク
「詐欺もんだな…こりゃ」
ケイジさんの言うとおり、間取りは随分と広かったのだが、この部屋には…吹き抜けに囲まれたダーツ台が遠くに一機と、赤と青、それぞれの色の扉があるくらいだった。
頬をかきながらトクは寂しげにしょげる。
まさか、UFOキャッチャーやリズムゲームなんてものを期待していたのだろうか。
流石に今回ばかりは感心できなかった。
トクを横目で一瞥しながら、ダーツ台の前の穴を覗く。
下からは風が吹き上げており、前髪がバサバサと乱れる。
トク
「あのダーツってどうするんだろうね？」
ケイジ
「さあねー…お巡りさん、ダーツはやったことないなー」
ここいにる三人全員が、ダーツは未経験だった。
他の上手い人がなんとかクリアしてはくれないだろうか…と他力本願になってしまう。
しかし、意味ありげな場所だが何故ダーツ台なのだろうか。
本当に誘拐犯側のセンスは私とはかち合わないようだ。
A
「あの扉の奥にでも入りますか？」
もうダーツ台には調べられる所はなさそうだ。
二人に赤と青の扉に行こうと提案し、どちらに入るかまたもやにらめっこをする。
今回もトクの勘に従い、青い扉へと入った。
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