そしてゼロになる 2【降谷零/安室透】

70.ずっとこの日を待ち焦がれて ページ25

零は私の返答に大きく目を見開いてから、その瞳を潤ませた。

そうして、なお一層強く抱きしめられる。



「ありがとう…A、本当に、ありがとう……ｯ」



私の顔は完全に彼の胸に押し付けられてるため表情は伺えなかったけれど、

声で何となく泣いているんだろうと察する。





…ああ、ずっと、

ずっとこんな近くに、こんなにも大切にしてくれて、こんなにも大切にできる人がいたんだ。



サザンベルにとって、安原Aにとって、…花澤Aにとって


大切な人が、今私を抱きしめている。



私はそっと零の背中に腕を回す。




「こちらこそ、…ずっと一緒にいてくれて、ありがとう…零」






…しばらくして零の力がふっと緩む。

少し彼の顔を見上げれば、暖かい手が頬に添えられた。




「…好きだよ、A」

「…私も」




そうして、私達は触れるだけのキスをした。

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