時を超えて 67 ページ41
「彩」
「んー？」
「どうしたん？そんな本読んで」
「あー、まぁちょっと」
「ＮＭＢ帝国の歴史？」
「うん」
「なんか気になることでもあるん？」
「んー」
「自分の過去とか？」
「里香は勘が当たるな」
「まぁな。記憶思い出せへんのやな」
「うん。ここに来ても、何も思い出せへん」
「そっか。
でも、そんな焦らへんくてもええんちゃう？」
「んー…なんかさ、俺やばいヤツやったみたいやわ」
「は？」
「だって、美優紀さんに打たれるし、偽物って言われるし」
「ほうほう。
彩、俺が思うにそれはお前のそれは勘違いやで」
「勘違い？」
「そう！
その美優紀さんって人はきっと、彩の事が好きやったんやないかな？」
「え？なんでそうなる？」
「だって、好きな人が記憶喪失して、見た目はその人だけど中身はその人じゃなくなってたらって考えてみ？」
「…嫌やな」
「だからまぁ、そう言いたくなるわな。
けど、多分その人はまだ受け止めきれてないんよ。彩のこと」
「確かにそういうの小説で読んだことあったかも…」
「まぁそれかぁ！お前のこと嫌いなだけとか！」
「え」
「これは俺の個人的な意見やから聞き流してもらってええ。
んで、美優紀さんってどんな人？」
「あー、多分里香とおんなじくらいの歳やと思うで？」
「マジか！見たすぎ」
「はぁ」
「ええやん連れてけ」
「会えるかわからへんで」
「ええから」
多分居るとすれば、国が経営してる病院か、治癒魔導士専用のエリアだろう。
「今日、由依は？」
「あー、多分いつもんとこ」
「ってことは、あそこか」
「ここに居るはず」
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作者名：ハル | 作成日時：2017年1月2日 19時
