時を超えて 43 ページ17
彩、菜々、里香が出会ったのは半年前。
｢んっ…｣
目が覚めれば見慣れぬ天井。
｢あっ、起きた！
里香〜！あの子起きたよ〜｣
｢おぉ、今行く〜｣
｢怪我、大丈夫？｣
｢怪我？｣
彩が起き上がろうとした時、ズキッと横腹が痛んだ。
｢いっ…！｣
｢あー！まだ動かない方がいいよ！
一応、処置はしたけど傷がすごく深かったから｣
その時、突然ドアが開いた。
｢大丈夫か？｣
｢あっ…はい｣
｢えっと、急で困惑してるよね。
私は由依、歳は19でこの隣にいるのが同い年の里香。
一応、双子なんだよね｣
｢一応って…
まぁ、よろしくな｣
「俺…」
自分の記憶をたどっても、名前だけしか浮かばない。
「彩」
「え？」
「彩です。それだけしかわかりません」
「記憶喪失ってこと？」
「それも、わかんないです…」
何も思い出せない自分の過去。
「それより、助けていただいてありがとうございます」
｢当然のことしたまでよ！｣
｢里香、調子乗らない｣
｢はい…｣
どうやら、由依さんの方が立場的には上のようだ。
｢でも、びっくりした。
山菜探してたら、君が倒れてるんやもん。
しかもすごい怪我してて｣
「そうなんですか」
「これから、なんか宛とかあるの？」
「いや…」
「まぁ、記憶喪失ってことは何もわかんないよね」
「記憶思い出すまでここにいなよ」
「はっ？何言ってんだ？由依」
「いいでしょ！そろそろ、二人暮らしも飽きたとこなの」
「飽きたって…」
「それに、こんなに困ってる人ほっとけないもん」
「まぁ、そうやな」
「彩、どう？」
「えっと…いいん？」
「もちろん」
「なら、お世話になろうかな」
そうして、３人の同居生活は始まりを告げる。
「魔法使える？」
そう聞かれた時、なんでかわからないけれど使える気がした。というより、まるで日常生活で歯磨きをするくらい簡単に使えた。
｢私たちにも魔法教えてくれないかな？｣
｢菜々！？｣
｢里香、これはチャンスだよ！
私たちショボい魔法しか使えないもん｣
｢それもそうだな」
これが俺達の出会いであった。
それから2人はどんどん力をつけていった。
まぁ、それもそのはず。
二人の両親は、結構名の知れた魔導士だったというのだから。
これが過去の出会いの話だ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 19人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ハル | 作成日時：2017年1月2日 19時
