◇45 ページ45
｢うわー･･･｣
｢立派な社畜脳やな｣
社畜脳･･･。
哀れむような二人の目が、すき焼きの湯気越しに向けられた。
『別にいいですよ。社畜だろうとなんだろうと』
私は不貞腐れて言うと、自分の皿の中の卵を意味もなくかき混ぜた。
すると、その皿の中に二枚の肉が、まるでお供えのように置かれた。
｢これ食べて体力つけや？社畜は何かと大変やろうし｣
｢僕の肉もどうぞ。まあ、丸山さんの奢りですけど｣
『･･････どうも』
目元こそ同情するような哀憐の眼差しを向けていたが、二人の口元は完全に薄く笑っていた。
───プルルルル･･･！
すると、マネージャーのケータイが慌ただしく着信を知らせた。
｢あ、ちょっとすみません｣
そして、その表情が急に険しくなり、スケジュール帳をひっ掴むと一度部屋から出ていった。
───まただ。
この間の渋谷に会った時のような、嫌な胸騒ぎがする。
｢マネージャーさんも、中々の社畜かもしれんね｣
ぐったりと卵に浸かったマネージャーの分の肉を見て、丸山がぽつりと呟いた。
｢もう、マネージャーさんの分のお肉も二人で食べてまおうか？なーんちゃって───｣
『丸山さん』
いつもみたいにヘラヘラと冗談を言う丸山を遮って、私は彼の名前を呼んだ。
そのピリついた空気に、丸山の表情からも自然と笑顔が消える。
『最近、関ジャニの中で何かありました？』
｢･･････何かって？｣
『例えば、あくまで例えばですけど･･････渋谷さんの事とか？』
渋谷の名前を出した途端に、丸山の口元が僅かに引きつった。
そして静かに箸を置くと、切れ長の目が真っ直ぐとこちらを向く。
｢突然どないしたん？誰かに何か言われた？｣
『そういう訳では･･･』
｢じゃあ何？｣
いつもと違う素っ気ない返事が、逆に何かを隠しているようにも思えた。
私は暫く丸山の顔をジッと見返して、手に持っていた箸を置く。
そしてもう一度彼へ視線を戻すと、その喉仏がゴクリと上下した。
『ツアーが終わったくらいの頃に、渋谷さんが私のバッティングを見に来たんです。それで、その時の様子が変だったというか、いつもと違ったので何かあったのかなと思って。すみません、それだけです』
所詮は、なんの根拠もないただの勘だ。
先程の丸山の反応だって、私の思い込みからそう見えてしまっただけなのかもしれない。
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めめこ(プロフ) - りなさん» ありがとうございます！楽しく読んでいただけて嬉しいです。続編作成中ですので少しお待ちください！ (2019年6月6日 12時) (
レス) id: ca01f690f5 (このIDを非表示/違反報告)
りな - 本当におもしろいです！早く続き見たいです！ (2019年6月5日 23時) (レス) id: 9dc5982e37 (このIDを非表示/違反報告)
めめこ(プロフ) - ゆんゆさん» いつも読んでいただきありがとうございます！ヤキモチを通り越すくらいゆんゆさんにドキドキしてもらえるような作品にしたいと思います(笑)これからもよろしくお願いします！ (2019年5月26日 21時) (レス) id: ca01f690f5 (このIDを非表示/違反報告)
ゆんゆ(プロフ) - いつも更新を楽しみにしています。まるたーの私なので、上手くいって欲しいと思う反面、感情がリアルに伝わるってくるので、上手くいったらヤキモチ妬きそうで今から心構えを、なんて思ってしまいます(笑)これからも楽しみにしています！ (2019年5月26日 19時) (レス) id: e91edee03b (このIDを非表示/違反報告)
めめこ(プロフ) - colorfulcrayon2さん» ご感想ありがとうございます！プロだなんて嬉しすぎます(><)更新頑張ります！！ (2019年5月23日 7時) (レス) id: ca01f690f5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：めめこ | 作成日時：2019年5月3日 15時
