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浅い鉄鍋の上に綺麗なサシの入った肉が置かれると、ジュー･･･と食欲をそそる音が鳴り出した。
上質な脂が溶けだして、まるで生き物のように縮んでいく。
そして肉にまだ赤みの残るうちに、静かに割下が注がれた。
その瞬間、空腹を限界まで持っていくような良い匂いが、目の前に立ち上る。
正直、自分のヨダレでむせるかと思った。
『美味しい･･････！』
｢まだ食べてへんやん｣
『こんなの、食べなくても美味しいってわかりますよ』
｢じゃあ、折角やから食べてください｣
私の減らず口にも、丸山はクスクスと笑っていた。
『では、いただきます───』
そして溶いた卵にくぐらせて、私の手のひらよりも大きな肉を口に入れる。
『んんんん〜〜〜っ！！！！！』
それは柔らかく、噛むほどに肉が溶けてなくなっていく。なのに、割下と卵にも負けない肉の味と甘味がしっかりと感じられる･･･！
｢美味しい？｣
その質問に、私は首が引き千切れんばかりの勢いで何度も頷いた。
｢フフ、そら良かったわ｣
私の反応に丸山は満足そうに笑って、自分の皿にも肉を取っていく。
不思議とその様が手慣れているようにも見えて、いつもこんな高級な店に来ているのだろうかと、勝手な想像をしてしまった。
｢───遅くなりました〜｣
すると、先程のマネージャーがへこへこと頭を下げながら部屋へ入ってきた。
丸山はそれに気が付くと、自然な動作で横の座椅子を引いてやる。
｢どこまで車停めに行っててん？｣
｢すみません、事務所から電話が入ってしまいまして｣
そう言って、マネージャーは苦笑いを浮かべながら丸山の隣へ座った。
｢それにしても、Aさん今日は珍しく早く仕事を切り上げられたんですね？｣
そして席に着いた途端に、そんな不躾な質問が投げられた。
『今日は時間給を取って早めに帰らせてもらったんです』
｢え･･･！？｣
｢Aちゃんが･･･！？｣
『え？何ですかその反応は』
二人は"驚愕"という言葉がぴったりと当てはまるような反応をした。
｢社畜を絵に描いたような子やったのに、時間給取れるようになったやなんて･･･｣
丸山は涙ぐむような声をあげて、少しも泣いていない目尻を拭う。
『私がやってた仕事を、少しずつ別の人に移し始めたんです』
｢良かったやん。これで少し楽になるなぁ｣
『んー、でも少し腑に落ちません。この仕事好きなので、むしろ楽しみを奪われてるような感じがします』
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めめこ(プロフ) - りなさん» ありがとうございます！楽しく読んでいただけて嬉しいです。続編作成中ですので少しお待ちください！ (2019年6月6日 12時) (
レス) id: ca01f690f5 (このIDを非表示/違反報告)
りな - 本当におもしろいです！早く続き見たいです！ (2019年6月5日 23時) (レス) id: 9dc5982e37 (このIDを非表示/違反報告)
めめこ(プロフ) - ゆんゆさん» いつも読んでいただきありがとうございます！ヤキモチを通り越すくらいゆんゆさんにドキドキしてもらえるような作品にしたいと思います(笑)これからもよろしくお願いします！ (2019年5月26日 21時) (レス) id: ca01f690f5 (このIDを非表示/違反報告)
ゆんゆ(プロフ) - いつも更新を楽しみにしています。まるたーの私なので、上手くいって欲しいと思う反面、感情がリアルに伝わるってくるので、上手くいったらヤキモチ妬きそうで今から心構えを、なんて思ってしまいます(笑)これからも楽しみにしています！ (2019年5月26日 19時) (レス) id: e91edee03b (このIDを非表示/違反報告)
めめこ(プロフ) - colorfulcrayon2さん» ご感想ありがとうございます！プロだなんて嬉しすぎます(><)更新頑張ります！！ (2019年5月23日 7時) (レス) id: ca01f690f5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：めめこ | 作成日時：2019年5月3日 15時
