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『───あの、今何を考えてます？』
｢ん？｣
渋谷に問えば、一瞬こちらに視線を上げたが、すぐに目を泳がせるとそっぽを向いてしまった。
そして少しの間を空けた後に、ぶっきらぼうな返事がくる。
｢そんなん、エ ロい事以外にないわい｣
『本当に･･･？』
｢お前なぁ･･････｣
なおも食らい付く私に、渋谷は呆れぎみでベンチから立ち上がると、眉間にシワを寄せて私を見下ろした。
｢あんましつこいと襲うぞ？｣
すると、渋谷の手が私の頭を掴んできて、強制的に下を向かされる。
それから、ポンポンと優しい手つきで叩かれた。
｢───まあ、これからも頑張りや｣
『渋谷さん･･･？』
何？その言い方。
まるで、どこかへ行ってしまうみたいな───。
もう一度渋谷の顔を見上げてみても、一向に目が合わないのが、さらに私の中の不安を煽る。
すると、キョロキョロと辺りをさ迷っていた渋谷の視線が、やっと私へ向けられた。
そして、苦笑を滲ませる。
｢なんちゅう顔してんねん。めっちゃブスやぞ？｣
『そんなに言うなら、整形費用ください』
｢頑張ってそういう癖の男探せ｣
『渋谷さんみたいな？』
｢おう｣
そんな下らないやり取りに、私は失笑を漏らした。
来年も再来年も、その先もずっと、こうしてアホみたいに笑っていられますよね───？
その返事を探るみたいに、私はこっそりと渋谷の表情を伺った。
しかし、彼の表情は既にいつもの仏頂面に戻っていた。
｢ほな、俺帰るわ。またな。Aちゃんもはよ帰れよー｣
渋谷は気だるそうに首の後ろを掻きながら言うと、私に背を向け去っていく。
できる事なら、その後ろ姿を引き留めたかった。
しかし、私はお疲れ様でしたと頭を下げると、その華奢な猫背を大人しく見送った。
『───またな･･･』
そして、ベンチの背もたれに体重を預け、溜め息と共に東京の真っ黒い夜空を仰ぎ見る。
細い三日月の横には、金星が一際眩い輝きを放っていた。
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めめこ(プロフ) - りなさん» ありがとうございます！楽しく読んでいただけて嬉しいです。続編作成中ですので少しお待ちください！ (2019年6月6日 12時) (
レス) id: ca01f690f5 (このIDを非表示/違反報告)
りな - 本当におもしろいです！早く続き見たいです！ (2019年6月5日 23時) (レス) id: 9dc5982e37 (このIDを非表示/違反報告)
めめこ(プロフ) - ゆんゆさん» いつも読んでいただきありがとうございます！ヤキモチを通り越すくらいゆんゆさんにドキドキしてもらえるような作品にしたいと思います(笑)これからもよろしくお願いします！ (2019年5月26日 21時) (レス) id: ca01f690f5 (このIDを非表示/違反報告)
ゆんゆ(プロフ) - いつも更新を楽しみにしています。まるたーの私なので、上手くいって欲しいと思う反面、感情がリアルに伝わるってくるので、上手くいったらヤキモチ妬きそうで今から心構えを、なんて思ってしまいます(笑)これからも楽しみにしています！ (2019年5月26日 19時) (レス) id: e91edee03b (このIDを非表示/違反報告)
めめこ(プロフ) - colorfulcrayon2さん» ご感想ありがとうございます！プロだなんて嬉しすぎます(><)更新頑張ります！！ (2019年5月23日 7時) (レス) id: ca01f690f5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：めめこ | 作成日時：2019年5月3日 15時
