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すると丸山は、おもむろに箱を開け、オレンジのお猪口だけを取り出した。
そして、箱に残されたブルーのお猪口を私の方へ差し出す。
『え！？片方だけですか！？しかも私が青なの･･･！？』
その謎の行動に、ただただ私は驚くばかりだった。
しかし丸山は、あっけらかんとした顔で答える。
｢だってAちゃん今彼氏おらへんやろ？そしたらペアで持たなくてもええやん。それに、オレンジは僕の色やから｣
丸山の言い分は十分にわかるが、素直には受け入れられない自分がいる。
あなたとこんなに深く関わっていなければ、今頃は私にだって彼氏の一人くらいできていた。多分。
私は箱の中に寂しく残るブルーのお猪口を見つめて、心の中で文句を垂れた。
すると、お猪口の箱にコツンと、まるで乾杯でもする様にオレンジのお猪口がぶつけられる。
顔を上げると、優しく微笑む丸山と目が合った。
｢───このお猪口でさ、いつか二人でお酒飲もうな？｣
そう言ってニッと笑う彼に、悔しくもときめいてしまった。
『そう、ですね』
いつか、そんな日が来たら───。
＊＊＊
── 退屈な日々だから
キミに惹かれた訳じゃない ──
── このココロは壊せない ──
── ボクにはできない ──
『ん･･････』
耳からイヤホンを引っこ抜いて、寝返りを打つ。
しかし、カーテンの隙間から漏れる日差しが眩しくて、結局また元の姿勢に戻った。
そして私は、大きなあくびをしながら、枕元に置いていた音楽プレイヤーの電源を切る。
今、何時───？
ベッドからもたもたと身を乗り出し時計を確認すると、もう11時を過ぎていた。
有給を取ったからと、少しダラダラし過ぎたかもしれない。
沖縄ロケから戻ってきた私は、どうにか有給休暇を取得する事ができた。
とは言っても、胃腸炎の社員が復帰するのを待ってからだった為、最後は私の体がギリギリの状態だったが、何とか乗りきる事ができた。
平日に仕事を休んでいるという優越感と少しの罪悪感が、何とも言えず気持ち良かった。
そして、手元のオレンジ色のイヤホンをぼんやりと見つめる。
実を言うと、このイヤホンは大倉に買ってもらった物だった。
確かあれは、冬のツアーが始まる少し前の事だったと思う───。
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めめこ(プロフ) - りなさん» ありがとうございます！楽しく読んでいただけて嬉しいです。続編作成中ですので少しお待ちください！ (2019年6月6日 12時) (
レス) id: ca01f690f5 (このIDを非表示/違反報告)
りな - 本当におもしろいです！早く続き見たいです！ (2019年6月5日 23時) (レス) id: 9dc5982e37 (このIDを非表示/違反報告)
めめこ(プロフ) - ゆんゆさん» いつも読んでいただきありがとうございます！ヤキモチを通り越すくらいゆんゆさんにドキドキしてもらえるような作品にしたいと思います(笑)これからもよろしくお願いします！ (2019年5月26日 21時) (レス) id: ca01f690f5 (このIDを非表示/違反報告)
ゆんゆ(プロフ) - いつも更新を楽しみにしています。まるたーの私なので、上手くいって欲しいと思う反面、感情がリアルに伝わるってくるので、上手くいったらヤキモチ妬きそうで今から心構えを、なんて思ってしまいます(笑)これからも楽しみにしています！ (2019年5月26日 19時) (レス) id: e91edee03b (このIDを非表示/違反報告)
めめこ(プロフ) - colorfulcrayon2さん» ご感想ありがとうございます！プロだなんて嬉しすぎます(><)更新頑張ります！！ (2019年5月23日 7時) (レス) id: ca01f690f5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：めめこ | 作成日時：2019年5月3日 15時
