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「良かったやん！あのたっちょんと仲良うなれて！最初の頃はどうなるかと思っとったけど、無駄な心配やったなぁ！」
『あの、丸山さん』
「ええな〜、"たつ君"呼び。俺も"丸ちゃん"とか、"隆ちゃん"とか呼ばれたいわ〜！」
いつもの明るい笑顔なのに、どうしてこんなにも、胸を締め付けられるんだろうか。
『丸山さん･･･！』
「ごめんAちゃん、今日はこれで堪忍して？」
『え･･･？』
眉をハの字に下げて、丸山さんは困ったように苦い笑みを私に向けていた。
「気に障るような事言ってもうてたら、ごめんな。でも───」
丸山さんの指先が、控えめに私の前髪を梳いていく。
そして、そのまま私の頭を上からそっと押して、有無を言わせず俯かされる。
まるで、私の視線を遠ざけたいみたいだった。
「───こんなアホでも、一応はええ大人やからな。そん時の感情だけで、無責任な事は言えへん･･･」
『どういう･･･』
どういう事でしょうか。
そう言いかけて、私はすぐに口をつぐんだ。
きっと今は、それすらも教えてはもらえないような気がした。
そして、私から彼の手の温もりが離れていった。
足音が遠ざかり、サンルームの引戸を開ける音が耳に入る。
「あ、そうや」
その声に、私はやっと顔を上げた。
そこにはもう、いつも通りの明るい笑顔を浮かべる丸山さんがいた。
「今度さぁ、花火とかせえへん？」
『え？』
「て言っても、バルコニーでそういうのんやっても大丈夫ならやけど」
『あ、はい。それは問題ないかと───』
「おっしゃ！じゃあ約束な？」
そして丸山さんは、こちらに向かって小指を立てると、ニッと少年のような笑みを浮かべる。
恐らく、指切りのつもりなのだろう。
私も一つ頷いて、同じように小指を立てた。
「───梅雨が終わったらさ、もう"夏"なんやで？」
丸山さんは最後にそう言い残すと、リビングへと戻っていった。
天窓から入った夜風が、ひとり残った私の頬をくすぐっていく。
その中には夏の匂いも混じっていて、先程の丸山さんの言葉が、脳内を反復していった。
そっか、もう夏なんだ───。
ビールを一口煽ると、温く気の抜けた炭酸が、微弱に喉を刺激していった。
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匿名希望 - 更新ありがとうございます！めちゃくちゃ好きです！ (2022年10月11日 1時) (
レス) @page27 id: cc9a8b8ec1 (このIDを非表示/違反報告)
匿名 - 更新ありがとうございます！続きがたのしみです◎ (2022年4月5日 4時) (レス) @page4 id: d8f1726f33 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：めめこ | 作成日時：2022年4月3日 17時
