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それから丸山さんはお酒をはさみながら、彼自身がどんな子供だったのか、どうして今の事務所に入ったのか、どんな苦楽があって今に至るのか、好きな物、苦手な物───1つ1つを私に話してくれた。
お酒のせいで段々と丸山さんの顔が赤らんできたが、それでもまだまだ彼は元気そうで、嬉しそうに楽器や映画やお芝居の話もしてくれる。
そういう話題に疎いのが申し訳なくもあったが、それでも一生懸命に話をしてくれるのが、私には単純に嬉しかった。
「───それでな、いっとき結構ゾンビ映画にもハマっててんけど、あ、Aちゃんてホラーとかそういう系大丈夫？」
『はい』
「良かった･･･あ、そうや！そのDVD持ってるからさ、一緒に観いひん？今から！」
『へ？』
「ちょっと持ってくるから、待っとって！」
丸山さんはそう言い残して足取り軽く立ち上がると、そのまま小走りで螺旋階段を登っていった。
転ばないと良いのだが･･･。
『お酒、すごく強い人なんだな･･････』
彼が姿を消していった方をぼんやりと見つめながら、ついそんな言葉が漏れる。
そして、ふと己の胸に手を当てた。
楽しい。
気持ちが高揚するって、きっとこういう事を言うのかもしれない。
男性とお酒を飲むのは初めてではないが、こんなに楽しいものだとは知らなかった。
いつも、最後はつまらなそうな苦笑いを向けられるから───。
私がその話題に疎い事が分かると、相手はそこで話すのをやめてしまう。
知らないなら話してもしょうがない、説明をするのが面倒、話してもつまらない、と。
そして何より、私の愛想笑いがバレていたのだと思う。
だから、そうなるのは当たり前だと諦めていた。
けれど丸山さんは、何も知らない私にも一から丁寧に説明をして、最後まで話をしてくれた。
だから私も、もっと聞いていたい、知りたい、と思ったのだ。
それに、話のテンポや、彼の落ち着いた低い声が、とても心地良かった。
『･･････不思議』
このフワフワとした浮足立つような感覚は、お酒を飲みすぎたせいだろうか───。
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匿名希望 - 更新ありがとうございます！めちゃくちゃ好きです！ (2022年10月11日 1時) (
レス) @page27 id: cc9a8b8ec1 (このIDを非表示/違反報告)
匿名 - 更新ありがとうございます！続きがたのしみです◎ (2022年4月5日 4時) (レス) @page4 id: d8f1726f33 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：めめこ | 作成日時：2022年4月3日 17時
