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「───Aちゃんてさ、どんな子やったん？」
『へ？』
突然の質問に、つい変な声が漏れてしまった。
隣の丸山さんを見やれば、頬杖をついたまま優しげな視線をこちらに向けている。
お酒のせいもあってか、普段よりも色気をまとった彼の雰囲気に、また私の脈が早くなっていく。
『ど、どんな子･･･そうですね･･････』
しかし、とにかく今は丸山さんからの質問にちゃんと答えなければ･･･。
手元のグラスの結露をなんとなく指先で拭いながら、どこから話すべきものなのかと、幼少期の己の姿を思い浮かべる。
「───フフ、ごめん、そんな難しく考えんでも大丈夫やってんけど」
すると、余程私が難しい表情を浮かべていたのか、丸山さんは苦笑を滲ませながらそう言った。
「単純にAちゃんの事もうちょっと知りたいなって思ってん。学生時代はなんの部活やってたんかとか、なんで東京で今の仕事に就こうと思ったんかなとか、さ」
『あ、そうですよね･･･！すみません、とんでもなく長い自分語りを始める所でした･･･！』
「まあ、それはそれで俺は全然聞きたいけどな」
『いや、さすがにそれは申し訳ないので･･･！』
これといった武勇伝も無ければ、笑いのネタにできるような面白い子供でもなかったし、拍手を貰えるような功績も何一つ残してはいない。
本当に、何もない人間なのだ。私は───。
『───私は、学生時代はずっと帰宅部でした。家も厳しかったので、テレビとか流行りの音楽も全然知らなくて。だからこれといった趣味や特技もない子でした』
友達も少なかったし、非行に走る事もなかったが、かと言ってその分を勉強に費やしていた訳でもない。
しかし一方では、従姉妹があれよあれよと成功の道を収めていったもんだから、こんな不出来な娘を持った両親には、いつも申し訳無さばかり感じていた。
きっと周りからも、嫌味を言われた事もあっただろう。
『いつも誰かと比べられていて、自信のない子供でした。まあ、それは今もなんですけど』
話に笑いを取り込む絶好のチャンスポイントだ。
そう思って加えた自虐のはずだった。
しかし、室内には自身の乾いた笑い声が響くだけで、ちらりと伺ってみた丸山さんの表情は、全くと言っていい程笑っていなかった。
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匿名希望 - 更新ありがとうございます！めちゃくちゃ好きです！ (2022年10月11日 1時) (
レス) @page27 id: cc9a8b8ec1 (このIDを非表示/違反報告)
匿名 - 更新ありがとうございます！続きがたのしみです◎ (2022年4月5日 4時) (レス) @page4 id: d8f1726f33 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：めめこ | 作成日時：2022年4月3日 17時
