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訳がわからないながらも、体に染み付いた名刺交換の動作を無意識にしてしまったのかもしれない。
『あの、今回の事は、私の不注意でもありまして･･･！すみませんでした！』
「あ･･････これはどうも、ご丁寧に･･･」
名刺を受け取った相手の表情が、心做しか引いている様にも感じた。
加えてその隣では、王子様が「ふっ･･･」と声を漏らして口元を手で押さえると、それを隠すように後ろを向いた。
そしてふと、自分の腕時計が目に入り、それと同時に青ざめる。
『ああ！どうしよう新幹線･･･！！』
「え、あの･･･」
『すみません！私、この後出張の予定が入ってまして･･･！あの、本当にすみませんでした！し、失礼します･･･！』
痛む足にも構う事なく立ち上がって、鞄を肩にかけ直すと、スーツの男性からキャリーケースを受け取る。
そして二人に深々と頭を下げ、目も合わせぬままその場から足早に立ち去った。
それから、新橋駅の改札をくぐり、ちょうどホームへ滑り込んできた山手線へ乗り込む。
私はやっとそこで、肺中の空気を全て出し切る程の大きな溜息をついた。
そして、上着のポケットに突っ込んでいた名刺を取り出す。
あの時は馬鹿にも自分の名刺まで渡してしまったが、後から会社に車の修理代等の連絡が行ったりしないだろうか･･･。
そんな不安がひっきりなしに浮かんできて、私は立て続けに二つ目の溜息を漏らす。
『ジャニーズ事務所･･････』
＊＊＊
数日前の苦い記憶を掘り起こしてしまい、私の眉間についシワが寄った。
管理会社の人は相変わらず電話口の従姉妹と揉めており、気不味く静かなリビング内にはその声だけが響いている。
向かいの二人はどうやら知り合いの様だったから、この気不味さも半減かもしれないが、私は違う。
気不味さに加え、この家から追い出されるのではないかという不安に、もはや吐き気さえ覚えていた。
「───あの、」
すると、コーヒーカップの持ち手を指先で弄んでいた王子様が、こちらを伺うように声をかけてきた。
「AAさん、やんな？」
『え･･･どうして私の名前を？』
「いや、あの時の名刺残していきはったから」
『あ･･･』
私の反応を見て、王子様はケラケラと楽しそうに笑った。
恥ずかしい･･････。
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めめこ(プロフ) - 匿名さん» 癒やしだなんて･･･！こちらこそ、ありがとうございます！ (2022年4月3日 8時) (
レス) id: ca01f690f5 (このIDを非表示/違反報告)
匿名 - 夜な夜な作品読ませていただいています、日々の癒やしです、ありがとうございます！ (2022年3月30日 2時) (レス) @page45 id: d8f1726f33 (このIDを非表示/違反報告)
めめこ(プロフ) - みーこさん» まさにうちキュンに影響された作品です(笑)引き続き応援よろしくお願いします！ (2022年2月21日 22時) (レス) id: ca01f690f5 (このIDを非表示/違反報告)
みーこ(プロフ) - うちキュンですね♡何か本当に頭の中にこのストーリーの映像が浮かびます(^^)応援しております！ (2022年2月20日 23時) (レス) @page24 id: bdc8ba7bac (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：めめこ | 作成日時：2022年2月11日 20時
