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そして、道の端にそっと降ろされると、その男性はすぐに私のバッグを拾いに行ってくれた。
『あ、ありがとうございます･･･』
「あとは･･････靴もどっか行ってもうてるな･･･」
右足だけヒールが脱げている事に気付き、再び男性が車道へ探しに行ってくれる。
それから少しして、車の影から私のヒールを持った男性が戻ってくると、「あったで！」と言って私の正面へひざまずいた。
それからそっと私の右足を取ると、流れるように自然な動作で、するりとヒールを履かせてくれた。
『･････････』
王子様だ───。
その時、私は年甲斐もなく本気でそう思ってしまった。
所作の一つ一つにどこか品があって、優しくて、でも私を簡単に持ち上げてしまうくらいには男らしくて。
心臓が、大きく脈を打つ。
「───ほんまに、少しでも痛いとこあったら、遠慮しないで言ってくださいね？」
すると、心配そうに眉尻を下げる男性に、顔を覗き込まれた。
それに対し私はといえば、変に意識してしまって、言葉も返せぬまま必死に頷くのがやっとであった。
なんて情けないのだろう･･･。
「───すみません！大丈夫でしたかっ･･･！？」
するとそこへ、先程のスーツの男性が、私のキャリーケースを引きずりながら戻ってきた。
どうやら、車体の下から引っ張り出してくれたようだ。
そのボディはべっこりと凹んでしまっているが･･･。
「本当に申し訳ございません･･･もしどこか痛むようなら、すぐに救急車を───」
『え、いや、そんな救急車を呼ぶ程のケガはしてませんから！大丈夫です･･･！』
焦った様子でスーツのポケットからスマホを取り出した男性を、私は慌てて止めた。
『こちらこそ、突然飛び出してしまって･･･』
それに元を正せば、悪いのは私の方なのだ。
ちゃんと確認もせずに、道へ飛び出してしまったのだから。
相手への申し訳無さと己への羞恥で、今すぐここから消えてしまいたいと思った。
「･･･では、もし何かあれば、こちらへご連絡ください」
するとスーツの男性はそう言って、私の目の前に一枚の名刺を差し出した。
『あ、えっと･･･頂戴致しますっ･･･』
私はそれをおずおずと受け取った。
そして恐らく、半分くらい私の頭はパニック状態だったのだろう。
何を思ったか、自分の鞄を漁って己の名刺を取り出すと、それを相手に差し出し返していた。
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めめこ(プロフ) - 匿名さん» 癒やしだなんて･･･！こちらこそ、ありがとうございます！ (2022年4月3日 8時) (
レス) id: ca01f690f5 (このIDを非表示/違反報告)
匿名 - 夜な夜な作品読ませていただいています、日々の癒やしです、ありがとうございます！ (2022年3月30日 2時) (レス) @page45 id: d8f1726f33 (このIDを非表示/違反報告)
めめこ(プロフ) - みーこさん» まさにうちキュンに影響された作品です(笑)引き続き応援よろしくお願いします！ (2022年2月21日 22時) (レス) id: ca01f690f5 (このIDを非表示/違反報告)
みーこ(プロフ) - うちキュンですね♡何か本当に頭の中にこのストーリーの映像が浮かびます(^^)応援しております！ (2022年2月20日 23時) (レス) @page24 id: bdc8ba7bac (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：めめこ | 作成日時：2022年2月11日 20時
