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病み上がり後、迎えた翌週の木曜日。
疲れもピークに近付くこの憂鬱な曜日に、私は急遽の残業を強いられていた。
マンションのエントランスをくぐる頃には、既に夜の10時半を過ぎており、ヘロヘロになりながら家の鍵を開ける。
『お腹空いた･･･』
"ただいま"よりも先に、そんな言葉が口をついて出た。
そしてリビングのドアを開けると、まず目に入ったのは、キッチンに立ってスマホを構えている丸山さんの姿だった。
「あ、Aちゃんおかえり！遅かったなぁ、残業やったん？」
優しく微笑まれ、たったそれだけの事にも、8割方の疲れが吹っ飛んでいく。
『ただいま戻りました。はい、急遽作業を頼まれてしまいまして･･･』
「そっかそっか、それはお疲れ様やったな。けど、それだけ頼りにされてるって事やんね」
『いえ』
丸山さんの労いの言葉に、私は少し苦く笑う。
頼りになんてされてる訳じゃない。
他部署から、誰にでもできる雑用を押し付けられていただけだ。
『丸山さんは、何をしてたんですか？』
これ以上深く聞かれるのを避けたくて、私はそう質問を投げ話を切り替える。
キッチンカウンター越しに丸山さんの手元を覗くと、料理の途中だったのか、食材や調理器具がずらりと並べられていた。
「あ、これ？これな、番組のコーナーで紹介するのに、ちょうど作ってたとこやねんけど」
そう言って丸山さんはいくつかの調味料を混ぜ合わせると、そこでまた1枚写真を撮る。
『へぇ･･･テレビに出る方って、こういう事もするんですね』
「ハハ、別にみんながこういう事してる訳ちゃうよ」
そう言われ、私はハッとする。そりゃそうだ。
無知な自分に恥ずかしくなり、つい顔をうつむかせるが、丸山さんはケラケラと楽しそうに笑ってくれた。
そして丸山さんの笑いも落ち着き、一瞬の間が訪れた瞬間、今度は私の腹の虫が悲痛な鳴き声を上げた。
どうしてこの虫は、こうもタイミングを考えてくれないのだろうか。
誤魔化しが効かない程の、彼の耳まで届くような大きさの音だった。
「Aちゃん、お腹空いてるん？」
『すみません･･･、昼休憩の後からは何も食べてなくて･･･』
丸山さんにズバリと言い当てられ、私は咄嗟にお腹を押さえ視線を背ける。
あまりの羞恥に、とてもじゃないが丸山さんの顔を見る事はできなかった。
しかし、向かいからは彼がクスリと柔らかく笑う気配がした。
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めめこ(プロフ) - 匿名さん» 癒やしだなんて･･･！こちらこそ、ありがとうございます！ (2022年4月3日 8時) (
レス) id: ca01f690f5 (このIDを非表示/違反報告)
匿名 - 夜な夜な作品読ませていただいています、日々の癒やしです、ありがとうございます！ (2022年3月30日 2時) (レス) @page45 id: d8f1726f33 (このIDを非表示/違反報告)
めめこ(プロフ) - みーこさん» まさにうちキュンに影響された作品です(笑)引き続き応援よろしくお願いします！ (2022年2月21日 22時) (レス) id: ca01f690f5 (このIDを非表示/違反報告)
みーこ(プロフ) - うちキュンですね♡何か本当に頭の中にこのストーリーの映像が浮かびます(^^)応援しております！ (2022年2月20日 23時) (レス) @page24 id: bdc8ba7bac (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：めめこ | 作成日時：2022年2月11日 20時
