□28 ページ28
『あ･･･』
ソファの背もたれの影に、人の頭を見つけた。
ローテーブルにはワインのボトルが置かれ、グラスの中身も少し残っている状態だ。
少し明るめの茶色い髪色から、恐らく大倉さんだろうと察する。
あまりかんばしくない場面に、私は存在を消すように忍び足で部屋に入った。
そして、物音を立てぬよう細心の注意を払いながら、冷蔵庫のミネラルウォーターをくすねる。
すると、大倉さんの頭がスルリと倒れていき、肘掛け部分に丁度良くのっかる。
もしかして、寝てる･･･？
その様子に、私は手近にあったブランケットを手に取って、恐る恐る彼に近付いていった。
それから、ソファの背もたれ越しに向こうを覗き込むと、スマホを握ったまま穏やかに寝息を立てる大倉さんの姿があった。
お酒のせいだろうか、その頬は少し赤らんでいる。
『───寒くないのかな･･･？』
無意識に呟いてしまった言葉に、私は慌てて口を押さえた。
起こしてしまっただろうか。
早鐘を打つ心臓を抑えながら、しばし大倉さんの様子を伺う。
しかし、変わらず無防備な表情で目を閉じている大倉さんに、私はほっと胸を撫で下ろした。
それから、持っていたブランケットを広げると、それをふわりと彼の上に掛ける。
ほんと、顔は綺麗なんだけどな───。
裏返ってしまった所を掛け直しながら、内心でそんな言葉を呟く。
バッ･･･───
『えっ･･･』
突然、手首を掴まれた。
それが彼の手だと気付くのに一瞬遅れてしまう程、何が起きたのか理解できなかった。
戸惑いながら大倉さんの方を向けば、薄っすらと開いた茶色の瞳と目が合った。
『あ、の･･････』
どうしよう。また、嫌われてしまうかもしれない。
そんな不安が過り、この状況をどう説明しようかと、必死に言葉を探す。
すると、掴まれていた手首が強い力で引っ張られた。
『え、わっ･･･！？』
床から足が浮き、ソファの背もたれを乗り上げるように、大倉さんの方へ倒れそうになる。
私は慌てて足をバタつかせて、どうにか体勢を元に戻した。
「───フッ」
『へ･･･？』
きっと今の私は、とても情けない表情をしているに違いない。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 180人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「関ジャニ∞」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
めめこ(プロフ) - 匿名さん» 癒やしだなんて･･･！こちらこそ、ありがとうございます！ (2022年4月3日 8時) (
レス) id: ca01f690f5 (このIDを非表示/違反報告)
匿名 - 夜な夜な作品読ませていただいています、日々の癒やしです、ありがとうございます！ (2022年3月30日 2時) (レス) @page45 id: d8f1726f33 (このIDを非表示/違反報告)
めめこ(プロフ) - みーこさん» まさにうちキュンに影響された作品です(笑)引き続き応援よろしくお願いします！ (2022年2月21日 22時) (レス) id: ca01f690f5 (このIDを非表示/違反報告)
みーこ(プロフ) - うちキュンですね♡何か本当に頭の中にこのストーリーの映像が浮かびます(^^)応援しております！ (2022年2月20日 23時) (レス) @page24 id: bdc8ba7bac (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：めめこ | 作成日時：2022年2月11日 20時
