□26 ページ26
「はい、できたで？」
『あ、ありがとうございますっ･･･』
「フフ、どういたしまして」
どうしよう。
きっと顔が赤くなってるの、気付かれてるだろうな。
丸山さんの手が離れた今も、早鐘を打つ心臓は静まる気配がなかった。
「───なあ、Aちゃんってさ、」
「───ただいまー」
すると、玄関から間延びした大倉さんの声が聞こえてきた。
それから少ししてリビングのドアが開くと、キャップとサングラスを外しながら大倉さんが入ってくる。
「おおー、たちょおかえり」
「･･････マル、何してんの？」
「何って？」
こちらを指差す大倉さんの表情は、驚きで僅かに引きつっていた。
恐らく、私と丸山さんが並んで夕食を食べている事に、相当驚いたのだろう。
この1ヶ月、２人ともろくに私と関わりを持たなかった訳だから、そりゃあ驚く事だろう。
すると丸山さんはすくっと立ち上がり、キッチンへ向かいながら大倉さんへ声を掛けた。
「あ、お味噌汁ならまだちょっと残ってんで？飲む？」
「あー、うん、飲む。いや、そうじゃなくて」
「飲むんか、飲まへんのか、どっちやそれ？」
「味噌汁は飲む。でもまず言いたいとこはそことちゃうねん」
大倉さんはそう言って、着ていた上着や荷物をダイニングカウンターへ置き、一瞬こちらへ視線を向ける。
それから先は小声で話し始め、口の動きは見えても、何を言っているのかまではわからなかった。
でも、何について話しているのかは、何となくわかる───。
別に大倉さんに好かれたいだなんて思ってはいないが、それでも、こうしてあからさまな態度を取られるのは、精神的に中々キツいものがある。
「味噌汁は後で自分でやるから、そのままでええわ」
そして、大倉さんはそれだけ言葉を残し、荷物を抱えて上のフロアへ行ってしまった。
その姿を視線で追うだけでも、大倉さんに迷惑だと思われてしまいそうな気がして、私はそっと目を逸らす。
「───気にせんでも大丈夫やで？」
すると、再びこちらに戻ってきた丸山さんに、そう言葉を掛けられる。
それに対し、私は何と返すのが正解なのか分からず、その場をやり過ごすように表面的な笑みを浮かべた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 180人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「関ジャニ∞」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
めめこ(プロフ) - 匿名さん» 癒やしだなんて･･･！こちらこそ、ありがとうございます！ (2022年4月3日 8時) (
レス) id: ca01f690f5 (このIDを非表示/違反報告)
匿名 - 夜な夜な作品読ませていただいています、日々の癒やしです、ありがとうございます！ (2022年3月30日 2時) (レス) @page45 id: d8f1726f33 (このIDを非表示/違反報告)
めめこ(プロフ) - みーこさん» まさにうちキュンに影響された作品です(笑)引き続き応援よろしくお願いします！ (2022年2月21日 22時) (レス) id: ca01f690f5 (このIDを非表示/違反報告)
みーこ(プロフ) - うちキュンですね♡何か本当に頭の中にこのストーリーの映像が浮かびます(^^)応援しております！ (2022年2月20日 23時) (レス) @page24 id: bdc8ba7bac (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：めめこ | 作成日時：2022年2月11日 20時
