きゅう ページ10
Eternoの二人による夢ノ咲での講義(?)からはや数ヵ月。夢ノ咲にしては珍しく、穏やかであった日の午後、職員室に固定電話の音が鳴り響いた。
「....大変お待たせ致しました。夢ノ咲学院アイドル科です。」
『全然待ってないから大丈夫だよ。むしろこんな時間にかけちゃってごめんね?』
そうフォローして受話器から流れ出てくる声は、EternoのREITこと巴月時雨。近くにいるのか、相方である麗月の少し呆れたような声も聞こえてくる。
『さて、本題なんだけど。今度僕たちの番組で女装企画をやることになったんだ。』
だから、テレビ出れる子。何人か貸してくれないかな?とのこと。一応、依頼書は届いているため断る理由は何もないのだが、如何せん内容が内容だ。
つい、背後に宇宙を展開し、虚無顔で「じょそう」と呟いてしまうのも仕方ないだろう。
『そう、女装。僕たちもまさか本当に通るとは思ってなかったんだよね。だって、酔ったときに麗月がふざけて言い出したものだし。』
「よったときにふざけて」
『そう。ワイン三本目くらいだったかな。』
「わいんさんぼんめ」
もう、それだけ飲んで酔うだけですんでいる麗月の酒豪さに驚けばいいのか、酒のノリに戦けばいいのか驚きのあまり思考が停止している教師(28)はふう、とひとつ息を吐き出し
「生徒たちに確認したのち、メールにてご報告させていただきますね。よろしければ連絡先を伺っても?」
とにっこりと相手側には見えないがきれいに微笑んで、告げられたアドレスをメモすれば失礼します。と受話器をもとに戻した。
そして、すん。と真顔にもどると
「おれ、おさけのてんしょんこわい」
とぽろり、と口からこぼし隣のデスクで書類を纏めていた数学教師(28)に
「相当な酒好きのお前が言う台詞じゃないだろ」
と淡々と突っ込まれたのだった。
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作者名:月うさぎ | 作成日時:2021年11月20日 15時