転生した先が実は異世界だったらしい【ワールドトリガー】

玉狛支部 ページ4

ボーダーに入隊して3年程経ったが、私は変わらず忙しい日々を過ごしていた。


運良くトリオン能力に恵まれ、SEなる特殊能力も持っていた。そのため私は貴重な戦力として重宝されたのだが、そこからエンジニアになるのが大変だった。


一時期所属していた部隊の人や本部長にも止められたが、近界民の技術を知るために、私はどうしてもトリガーの開発や改良に携わりたかったのだ。

時間を掛け、部隊は抜けるが戦闘員と掛け持ちするということでなんとか説き伏せ、今では師匠もいてすっかり楽しんでいる。忙しいけど！！


忙しいといえば、つい先日まで私は忙殺されていた。原因はイレギュラー門(ゲート)の発生。エンジニアを殺す気か、と近界民に全力で問いただしたいところだ。


それも玉狛支部の迅さんがいきなり元凶を本部に連れてきたため、なんとか数日で事態は収束したが、エンジニアが寝る間も惜しんで働いたことに変わりはない。鬼怒田開発室長もいつもより隈がひどかったし。


休暇を取って丸二日寝て元気になった今日、その元凶を発見したという子が、迅さんのいる玉狛支部の基地に来ているとのことで、迅さんとその子へのお礼と、玉狛の防衛隊員のトリガーメンテナンスを兼ねて訪ねることにした。



…した、のだが。


「ちょっと粟倉、あんた迅に兄弟がいるなんて知ってた！？」


基地にお邪魔した直後、あの日私をトリオン兵から助けてくれた命の恩人改め、小南桐絵にそんなことを聞かれたら誰だって戸惑うと思うの。


とりあえず現状を把握しよう、といっても迅さんの兄弟だというその3人の子達をはどう見ても似ていない。また騙されたのか、と思いつつもその話に乗ることにした。


『うん。小南は知らなかったんだね』

「へえ、とりまるも粟倉も知ってたのね…ってことはレイジさんも知ってたの！？」


見事に騙された小南に、レイジさんが迅さんに兄弟はいないとネタバラシをする。案の定混乱する小南に思わず笑ってしまった。


「このすぐダマされちゃう子が小南桐絵 17歳」


宇佐美の紹介でようやく騙されたことに気づいた小南が噛みつくが、まさか信じるとは、と迅さんに流されて終わった。

その流れでもさもさした男前こと烏丸京介と、落ち着いた筋肉こと木崎レイジさんを紹介した宇佐美がこちらを向いた。お願いだからまともな紹介をしてくれ。


「こっちのノリがいい天才が本部所属の粟倉Aだよ」

『ノリのよさだけが天才みたいな言い方止してね』


やっぱりまともな紹介は期待できなかった。

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