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ドジっ子 ページ5

*






目の前には俺に手当てをされるA。真横にはタオルの山。床に転がった大量のボール。どうしてこうなったのか。それは五分程前に遡る__









部活後の部室でそれは起こった。




『あっ、精市くん!見て見て、台使わなくても届くようになったよ!』



タオルをしまっている棚は少し高くて、男子にしては背が低いAには届かなかった。

しかしこの子も中学三年生、というか俺と同い年。身長は伸びているのだろう、ギリギリだが頑張れば届くようになっていた。




「背、伸びたね。」

『ふふ、でしょ?毎日牛乳飲んでるもん!』



牛乳を飲めば身長が伸びるのかはさておき、背伸びした不安定な姿勢でタオルをたくさん持っていたら危ない。


「そんな無茶な体勢で何枚も持ってたら危ないよ。ほら、気を付けないと……」

『うー……うわっ!?』




案の定バランスを崩して倒れた。おまけにボール籠と側にあったタオルの山を捲き込んで。







__そして今に至る。


全く世話の焼ける子だなぁ。産まれたときから傍にいるけど、ずっと危なっかしい。心配する方の身にもなってよ。



『うぅ、ごめんね精市くん…』

「無理して背伸びしないの。台がないわけじゃないんだからさ。」

『………うん』




Aは痣ができた自分の足を見て、深く溜め息を吐いた。






(本当、病気的なまでのドジだよね)
(これでも結構気にしてるんだよ…)

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作者名:海道蓮 | 作成日時:2019年5月5日 11時

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