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昼休み、俺はいつものようにB組に足を運んだ。昼食はいつも屋上でAと二人で食べていたけど、俺が入院している間にAがテニス部のレギュラー達と一緒に食べていたこともあり、最近はレギュラー陣プラスマネージャーで集まって食べている。
部誌を読んでみんなの様子を確認しているけど、こうしてちゃんと一人一人の変化を見ることができるのはいいことだし、単純に楽しい。
それに、人見知りのAにとっても、心を開ける仲間と一緒にいることができるのはいいことだ。
教室を覗いてみて、いつものように仁王が居ないこと(サボり)を確認し、丸井とAが窓際で話しているところに向かった。ずいぶん楽しそうに話しているようだけど、会話の内容はあまり聞こえてこない。
「まさか幸村くんが…………なんてな」
『ふふ、精市くんには内緒だよ』
「……へえ、俺には内緒なんだ？」
背後からにっこり笑って話しかけると、二人はこの世の終わりを悟ったかのような絶望した顔で振り返った。
『せ、精市くん…』
「ちょ、いやちが…これはその…違うんだ幸村くん！」
「何が違うのか知らないけど、陰口言うなら本人に言うべきだよ。」
二人の雰囲気からして俺の悪口ではないのはわかっているけど、隠し事は気にくわない。ほんの少し意地悪をしてみたくなってしまう。
「そ、そうじゃねーって！」
『せ、精市くんの陰口なんか言ってないよ！ただ、小さいときに精市くんが僕にお嫁さんになってって言った話をしてただけで…！』
墓穴を掘ったAはそれに気づいた瞬間、顔を真っ青にした。
「墓穴掘ってどうすんだよ！」
『う、だって…』
丸井のツッコミにAは唸りながらしゃがみこむ。全く、忘れてくれって言ったのに。
「丸井」
「ヒェッ」
声を掛けただけなのに、裏返りに裏返りを重ねた奇声を発する丸井。返事になってないよそれ。
(Aに聞いたこと、全部忘れてね)
(わかりましたごめんなさい(即答))
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作者名：海道蓮 | 作成日時：2019年5月5日 11時
