恋味チョコレイト(青)

13.お願いごと ページ13

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家の住所を伝えたものの、私の住むマンションはちょっぴり場所が複雑。
だからヤスくんの仕事が終わったら連絡をもらって、待ち合わせを最寄駅にしようってことになった。



「・・・じゃあ、また明日」



まだ電話を切りたくないけれどヤスくんも必要以上に話さないし、私も話すことが見つからなくて。
だから仕方なくまた明日、って言ったのに



「なぁ、Aちゃん」



電話越しでも分かるくらい、ヤスくんが大きく息を吐いてから優しい声で私の名前を呼ぶ。
ヤスくんは簡単に私の名前を呼ぶけれど、呼ばれる私は慣れなくて。



やっと落ち着きかけた心臓がまた大騒ぎし始めて、スマホを握る指先までドキドキしてる。



「・・・お願いがあるんやけど」

「私に出来ることなら」

「Aちゃんしか、出来んこと」

「何だろう・・・変なお願いは無理だよ？」



明日の仕事のことかな。
それともやっぱり義理チョコが欲しくなったとか。



「・・・1回でいいから」

「ん？」

「オレのこと、名前で呼んで」



ヤスくんはきっと知らない。

自分が言ってる言葉の破壊力を。

LINEの《章大》の文字の威力を。



「や、ヤスくん・・・」

「それやなくて」



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