恋泥棒(緑) 4

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早よしてくれんとまた部長から電話かかってくるかもしれんし。



この会議室も資料が揃えてあるってことはもうすぐ誰か来るんやろうし。



焦らされるの嫌いやないけど、ハグだけじゃそろそろオレの我慢にも限界が来そうや。



「・・・大倉さん」



木村あやがそう呼んでくれて。



「ん？」



次の言葉を期待して顔ニヤけんの必死で我慢したところで。



コンコン、ってドアをノックする音が2人の時間の終わりを告げる。



「あやちゃん、ここにおる？ 資料足りた？」



しかもそれが安田の声ってところがタイミング悪すぎる。



「あ、うん。大丈夫・・・」



でも離したくなくて。
安田に返事をしてる木村あやをオレの腕から抜け出せないようにわざと強く抱きしめてみるけど。



仕事モードの顔になって無言で首を横に振られたら、諦めて離すしかないか。



「・・・大倉くん、いつの間に営業から総務に異動になったん？」



会議室に入ってきた安田がオレを見るなり嫌味ったらしいこと言うてくる。



「資料がね、多かったから運ぶの手伝ってもらったの」



木村あやが慌ててそんなフォローしてくれるけど安田はそんなん聞く耳ももたん様子で。



「行こう、あやちゃん」



オレの元から引き剥がすように木村あやの手を掴んで会議室を出ていこうとするから。



「ちょっと待てや。オレ、まだ木村さんと話しとる途中」

「悪いけど大倉くんと違って総務は暇ちゃうねん」



引きとめようとしたオレの声はいつもに増して不機嫌な安田の声で遮られた。

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