参 ページ4
五条side
「あららぁ…」
「すじこ」
「いいよ、棘が謝ることじゃないでしょ」
「…おかか」
「ん？なんで？」
棘の言葉か、俺の言葉か
いつにも増してキレたAは
自身の術式の中へ閉じこもった
唯一の逃げ場所だと
前に聞いたことがある
つまりAは今、棘から
そして俺から逃げたわけだ
言葉を、間違ったかもしれない
後悔しても遅いんだけど
それより、今は目の前の棘の
メンタルケアのが大事かな
2人は仲が悪いという噂は
噂ではなく真実だ
Aが一方的に棘を嫌っている
ように見えるがその実、お互い様だ
棘も何かしら理由があって
意識的にAを遠ざけている
2人の口から出る罵倒言葉に
嘘は何一つない
不仲なのは紛れもない事実だ
それなのに…
「…おかか、すじこ」
「へぇ…」
この2人には、決して他人が踏み込めない
切れない糸のような何かがある
正真正銘不仲で大嫌いな相手を
意図して繋ぎ止めている
それがなんなのか、俺はまだ知らない
聞く許可すらも貰えてない
「棘はAのどこが嫌いなの？」
「高菜？」
「そう、嫌いなところだ」
「………」
少し悩んだような顔をした棘は
次に困ったような顔で俺を見つめてきた
分からない、と訴えているようだ
「分からないってことはないでしょ、棘が気づいてないだけだよ」
「すじこ」
「んー…じゃあ逆に好きなところはないの？」
「…明太子」
「へぇ、意外だな」
好きなところはあるらしい
ただ、ほんの少しだけだけど
遠い親戚なだけあって
付き合いは長いと聞いた
長く一緒にいれば嫌なところも
良いところも丸見えになる
不仲なのは嫌なところを知ったから？
好きなところがあるのは
良いところもあると知っているからかな
「棘、Aを連れ帰ってきてよ」
「おかか」
「君以外に誰がいるの」
「…ツナマヨ」
「ん？…あぁ、憂太か」
「すじこ、明太子」
「確かになぁ」
Aは憂太をえらく気に入っている
あれほど強い自尊心を持ったAが
自分より強い呪術師に好意を持っているんだ
猫がネズミを愛でているようなもの
俺以外には憂太だけだ
あいつの心に触れられるのは
「俺は怒らせちゃったからダメ、棘は仲悪いからダメ…ってなると、消去法でそうなるか」
「すじこ」
「よし、じゃあ憂太連れてきて」
「しゃけ」
Aの特別は俺だけだと思いたかったな
.
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わらびもち - 主さんの文章力で夢主の心の闇がきっちりと表現されてる…。場面も分かりやすい…。すごい…。これからも頑張ってください！ (2021年1月16日 12時) (
レス) id: a494b1d180 (このIDを非表示/違反報告)
みかん - 更新頑張ってください！応援してます！ (2020年10月27日 21時) (レス) id: 495bc5f437 (このIDを非表示/違反報告)
きゃーぽん(プロフ) - 面白いです頑張ってください！ (2020年10月25日 11時) (レス) id: 0aee990b2e (このIDを非表示/違反報告)
絵描きさん(プロフ) - *瑠璃*さん» 良かったです！今後外れていなかった際はご報告頂けると嬉しいです…！ (2020年10月25日 1時) (レス) id: 215c832e11 (このIDを非表示/違反報告)
*瑠璃* - 絵描きさんさん» 大丈夫です！ちゃんと外れていますよ！ (2020年10月24日 11時) (レス) id: f48c22676e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：絵描きさん
| 作成日時：2020年10月19日 23時
