音駒のマネは地獄耳！？(4)

162話 ページ19

観客席に向かうと

そこには見慣れた2人の女子の姿


あかね「あ！！Aさんだ！」

アリサ「こっちこっちー！」

『2人とも今日も来てくれてありがとうね』


虎の妹のあかねちゃんとリエーフのお姉さんのアリサさん

この2人は毎回試合になると応援しに来てくれている

遠いのにわざわざ来てくれるからとてもありがたい



あかね「Aさん、今日は浅霧さんがベンチなんですか？」

アリサ「てっきり今日も優ちゃんが来るのだと思ってたのだけど、久しぶりにAちゃんと話せてうれしいわ！」

『ちょっと色々あってね…』



さすがに知らないか

まぁ、その方がやりやすいかな



あかね「あっ！！出てきたよ！！」

アリサ「あらほんと！！レーヴォチカー！！」

『頑張れ〜！』



始まった…


私達……私の最後の祭りが…










試合中の記憶は曖昧で


正直頭に残っている記憶はほとんどない


興奮していたのかもね…


でも、潔く行こうじゃないか


私達は負けたのだ


忌々しいお上りガラスに


可愛い可愛い後輩に


私の春高はここで終わり


役目は終わった…さぁ幕引きだ



『…さてと』

あかね「Aさん下に行くの？」

『うん、皆にお疲れ様言ってくるね』

アリサ「行ってらっしゃい〜」


笑顔で見送ってくれる2人を尻目に

私は階段を下りまっすぐに会場の出口へと足を進める



これでいいのだ


変に話して私の気が変わらないうちに


さっさと行ってしまおう


後悔がないと言えば嘘になる


だってほら…



『っ…グゥ…ｸﾞｽ……』



気を抜いたら


大声で泣いてしまいそうだ


悔しい…悔しい……



『…クッソ』



負けるなんて思っても無かった


勝てると信じていたから


考えれば考えるほど腹が立つ



『成長し過ぎなんだよ雛烏共』



負けたら絶対…許さないから…






会場を出ると


タクシーが迎えに来てくれていた


無意識に電話で呼んでいたのだろうか


まぁ、この際どうでもいいか



『病院までお願いします…』


運転手「かしこまりました」











バイバイ…バレーボール










バイバイ……









私の思い出…





段々と小さくなる東京体育館



来年も来れるかな…



でも、手術してももう長くないだろうし…



無理かもなぁ…





『…… au revoir…』
















…ごめんね

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