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少しの後悔と大きな嬉しさ ページ18

少しすれば「ヒィッ」と情けない悲鳴が聞こえた。

ドタドタと走り回る音と、バタンとずっこける音も。
思わず笑ってしまいそうになるが耐えた。


足音が大きくなってきたのでこちらに近づいできているのだろう。


私は必死に寝たフリを決め込む。

「ユキ!」

バンッと扉を開けるクロウリー。
自身の怖さ半分、ユキの身の安全を思い焦っていた半分である。結構大きな音を立てたにもかかわらずユキの反応はない。



冷や汗をかきつつ、ユキの方へと足を進めた。

「ユ、ユキ?
起きてます?」

もしもーしと声をかけるも全く反応しない。
そしてユキの顔を覗き込んだその瞬間である。

長い髪の毛で隠された顔。
その髪の隙間から覗いていた目が、ギュルんと急に開いたのである。

「ギャア!?」

クロウリーは床に尻もちを着く。

そしてユキは手を使わず自身の腹筋だけで起き上がり

「ァ”ァ”ア”ぁ”あ”あ”あ”あ”!!!」

と叫べば

「ギョェエエエエエ!!!?!?!???!!!」

と叫び声による返事が返ってきた。

ユキが叫んだその瞬間、閉じていたはずの窓がバタバタと開き、風が吹き付ける。


そしてクローゼットの扉はなぜか開閉を繰り返している。そんな奇々怪界な状況にクロウリーは叫ばずにはいられなかった。


「なーんちゃって!おはようパパ!びっくりした?」
「貴方私を殺す気ですか!?!?」
「ごめんって!」
「なんちゅー事考えてんだ!?怖すぎますよ!?!?」
「えぇ、普通じゃない?」
「普通なわけあるか!?!?」

泣きながら訴えてくるクロウリーに、泣き笑いで慰めるユキ。

「はぁ、少しでも心配した私が馬鹿でした」
「え、心配してくれたの?」
「当たり前でしょ!?
昨日まで普通だったオンボロ寮が、今朝来てみれば不穏な空気になってますし、誰だって心配しますよ全く。」

失礼しちゃいますよ、とプリプリ怒るクロウリー。
その姿に申し訳なさと嬉しさが込み上げる。

「っ〜!!」


嬉しさのあまり、大きな背中へと抱きついた。


「なんです!?」
「ありがとー」

消え入りそうなか細い声ではあったが、心配してくれたという言葉に対するお礼がはっきり聞こえた。


その様子に毒気を抜かれたのも、仕方の無いこと。



「次したら本当におこりますからね」
「うん。ごめんなさい」

そんな、親子のような会話がユキの心を踊らせた。

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Ria*(プロフ) - すみませんごめんなさい…。前にしたコメントゆっこさんのことを呼び捨てに…!!わざとじゃないんです、ごめなさい!ゆっこ"さん"です!訂正させてください!! (2020年8月6日 10時) (レス) id: 33e95337be (このIDを非表示/違反報告)
白玉の星(プロフ) - 速く………………速く………………思い出してほしい…これからも頑張ってください……………… (2020年8月5日 21時) (レス) id: 897ea2c55e (このIDを非表示/違反報告)
ちぃすけ。(プロフ) - 全編見たとき泣きました…( ; ; )この作品が今までで一番好きです!!更新ものすごく楽しみにしてます!!頑張ってください! (2020年8月5日 20時) (レス) id: 0f6c0c9d97 (このIDを非表示/違反報告)
Ria*(プロフ) - 続編心待ちにしてました!ゆっこの作品大好きです!これからも楽しみにしています!! (2020年8月5日 18時) (レス) id: 33e95337be (このIDを非表示/違反報告)
蜜柑 - 名前変換させてほしい… (2020年8月5日 12時) (レス) id: ed99c8170d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ゆっこ | 作者ホームページ:https://www.pixiv.net/novel/series/1297564  
作成日時:2020年8月4日 20時

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