小 児 科 病 棟 の 女 の 子 。 5

不 安　[ 217 ] ページ37

* 彩side *


今日 は 数日ぶり の 夜勤 。


　


今日 の 夜勤 の 見回り は 私 が 担当 で 、

ナースステーション から 懐中電灯 を もって

病室 の ほう へ 向かう 。




昔 は 少し ドキドキ も していたけど 、

今 は 全く 慣れたもの 。



　


だけど 、 夜 の 小児科病棟 は 、

泣き声 が やむと ものすごく 静かで 。






　


そんな中 に 今夜 は どこからか

小さな 話し声 が 聞こえてきて 、

思わず 歩み を 止める 。






話し声 の ほう に 近づいてみると 、

そこ は 真愛ちゃん や 優雨ちゃん の 病室 で 、

だいたい 誰 が 話しているのか は

見当 が 付いた 。



　



注意 しようと 、 病室 に 入ろうとした その時 …







優 「 … 治んないよ 。 」






そんな声 を 聞いて 、 思わず 動き が 止まる 。





これ が 優雨ちゃん の 声だ って いうのは 、

いつも みていたから なんとなく わかって 。


　



私 が この病院 で 働くように なった頃 から

入院 している 優雨ちゃん が 、

いつも ニコニコ している 優雨ちゃん が 、

「 治らない 」 なんて 後ろ向き な 言葉 を

発しているのに 驚き を 隠せず 、 つい 話 を

病室 の ドア の 前 で 聞いてしまう 。






優 「 いつ 死んでも おかしくないの ……！ 」


　


真愛ちゃん に ぶつけた

優雨ちゃん の この 言葉 は 、

どこか 心 に 突き刺さるようで 。




" 治るよ " なんて 無責任 な 言葉 しか

見当たらなくて 、 かけてあげられる 言葉 が

その時 は 全然 見つからなくて 。










看護師 として 情けない とは 思うけれど 、

この 二人 の 密会 には 触れず 、

何事 も なかったように

夜 の 見回り を また 始めた 。




　




・







　




「 優雨ちゃん〜 おはよう〜？

もう 先生 来てるよ？ 」


　


朝 の 回診 の ために 、 優雨ちゃん を 起こそうと

布団 を めくると 、 そこには 手 を 繋いで

並んで 気持ちよさそうに 眠る

優雨ちゃん と 真愛ちゃん の 姿 。



　


奏 「 あれーっ 、 一緒 に 寝たんだね 」



「 そうですね …… 」





この 二人 の 寝姿 を 見て 、

昨夜 の 密会 の こと を 思い出す 。


　



「 あの …… 」





なんとなく 、 言ったほう が いい気 が して 、

桜庭先生 に 打ち明けてみた 。

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