“嘘つき”は神に祈る Ⅲ (ページ46)

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一難去ってまた一難ページ46

『おそらく、気候のせいだろう』

　ふっかふかのベッドにナミを寝かせたルフィ達は、「気候？」と首を傾げた。

『“偉大なる航路”に入った船乗りがぶち当たる壁が、異常気候による発病だ。どんなに屈強な怪物だろうが、これ(・・)によって天に召されるなんて話はザラに聞く』

「ナビざん死ぬのがなァ……A!!!?」

『やめろっ引っ付くな!? あーーー!! おれの十万円が鼻水まみれにィ!!』

　助けてくれよォ!!!! と泣き叫ぶサンジに抱きつかれるAを横目に、ビビは「この船に少しでも医学をかじっている人はいないの？」と聞く。
　そして、ナミを指さしたAにビビは言葉を失った。

「でも、肉食えば治るよ!! 病気は!! なァサンジ!!!」

「そりゃ基本的な病人食は作るつもりだがよ……あくまで“看護”の領域だよ。それで治るとは限らねェ」

　普段の航海から女性陣への食事には人一倍、いや百倍気を遣っているサンジは、栄養摂取に関しての病ではないことを宣言すると同時に、必要な病人食の診断ができないことを言葉にした。

　そうこうしている間にも上がるナミの熱は、40度を切っていた。常人であれば死も覚悟するほどの症状だ。
　アラバスタへ行けば当然医者はいるが、一週間以上かかることは確定であった。もし命に関わる病気だとすれば、このままだとナミは死んでしまう。

　そのことに気がついたルフィ達3人は、泣きわめいたことでAに「落ち着け」と諭される。

『喚いても仕方ねェよ。ナミを助けたいなら、急いで医者を探せばいい』

「……だめよ」

『あ？おいおい、まだ起きるなよ。体に障るぜ』

「心遣い……ありがとう……A、私のデスクの引き出しに新聞があるの……とってくれる？」

　バサッと広げられた新聞には、アラバスタの現状がデカデカと書き立てられていた。

　国王軍の兵士が反乱軍に寝返ったというニュースは、ビビの心拍数を上げる。鎮圧戦から一気に形勢が逆転した事実に、ビビは息を飲んだ。

『3日前の新聞？』

「ごめんね……あんたに見せても船の速度は変わらないから、不安にさせるよりと思って隠しといたの」

『ルフィ、さっきからアホ面見せてるが、意味は理解してるか？』

「……! 大変そうな印象をうけた」

『よし、思ったより伝わってて安心したよ』

　改めて、こいつには新聞も読ませといた方が世のためだとAは思った。