酒は飲んでも飲まれるな ページ5
イガラッポイの合図によって現れるは、総勢100人の住人達。
一つ訂正を入れるとするなら、彼らはただの住人ではなく、女でも子供でも関係のない全員が賞金稼ぎの人間であるということだ。
「一人で相手するには無理があるだろう。最も、貴様は強そうには見えないが」
『あァ？』
人を舐めるのは大好きだが、逆に舐められるのは大嫌いなAは、見下ろす目を細めて喉から殺意のこもった声を漏らした。
話し合いでなんとか解決できれば、面倒なことにもならないし無駄な体力を使わなくて済む、とWin-Winな関係を築けると思っていたAは、イガラッポイの言葉に腹を立てた。
今すぐにでもこいつらを殴り倒してやろう。そう思ったAだが、それは突然現れたゾロによって止められることとなる。
「一人じゃねェ……二人だ」
『ロロノア』
刀を月に掲げながら、ゾロは笑う。
策略によって酔い潰れたと思っていたイガラッポイ達は、動揺しながらゾロを見た。酒に飲まれるバカはやらないものだ、と語るゾロは月夜に照らされて剣士としての威厳を持たせる。
「殺せっ!!!!」
「二人まとめて撃ち殺せ!! ん!!?」
「いないっ……!! あの剣士、どこへ消えた!!?」
二人に銃を向けた賞金稼ぎ達は、ゾロの姿がなくなったことに驚き辺りを見渡した。そして、いつの間にか自分達の中に潜んでいたゾロを見つけると乱闘が始まる。
『おーおーやってるやってる。じゃ、おれは久しぶりに傍観を決め込みますか』
100人を相手取るゾロに拍手を送るAは優雅に葉巻を味わっていたが、どうやらこの戦闘ファイトは強制参加らしい。
「油断済んじゃねェエ!!!」
『してねェよ』
「ぐえッ!!」
剣を振り上げて襲ってくる男に、Aは酒瓶を投げつけられた。頭部に当たるとともに砕け散る瓶が、きらきらと月の光に照らされて地面へと舞い落ちる。
男を筆頭に次々と屋上へ上ってくる賞金稼ぎ達は、各々の武器を握り締めて攻撃を繰り出すが、Aには通用しない。
『よっ』
「うげッ!!?」
一斉に襲いかかってくれば一人の頭を押さえつけて体を浮かせ、そのまま全員を蹴り飛ばす。
『ほらよ』
「ギャァー!!」
銃弾が飛び交えば、自慢の投擲技術を生かしたナイフ裁きで見事に撃破する。
そして、散弾銃相手なら空中からかかと落としを決め、姑息な手を使う輩には逆に利用してやるなど、Aは一瞬で半分の50人を倒してしまった。
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作者名：ヒロ子 | 作成日時：2022年9月22日 19時
