犯人登場!! ページ27
「それにお酒だって……本来、私達を狙ったものだったのかもしれないわ……!!」
「酒……!? 酒って何のことだ……!?」
半分正解、半分不正解のビビの話に、ウソップは「胃袋で酒が爆発……!!?」と驚きの声をあげた。
ドリーとブロギーの決闘を“誇り高き戦い”と称していたウソップは、ルフィと同じくらい、いやそれ以上に納得できないと邪魔が入った勝負の付き方を非難する。歯口が見えるほど大きく開けられた口と瞳孔が見えるほど見開かれた目は、ウソップの感情を表した。
「そんな勝負のつき方があるかよ!!!!」
必死に訴える彼の声は、虚しくも響くだけだ。
ガキとはなぜ、こうも他者の勝負に対して熱く語れるのだろうか。
地響きと剣と斧が交差する金属音を聞きながら、Aは葉巻を吸った。
一世紀も続いたエルバフの戦士の決闘は、ひとつの爆弾から大きくリズムを狂わせられたが、それに気づかない哀れな巨人達は剣と斧を片手に踊る。
『フ───……』
森林の奥深く、100年間彼らの決闘場となり続けたおかげで草木も生えることがない開けた場所から噴水が立ち上る。
静かに、ただ空高く飛び散ったそれに、下で騒ぐルフィ達とは違って見慣れているとでも言いたげなAは、顔色ひとつ変えない。
ようやく勝負が終わった、と言いたげな彼の顔は安堵の感情に包まれた。
「!! あ」
『あ？』
が、Aはすぐさま元の死んだ魚の目に戻ることになる。
密林から現れたMr.5とミス・バレンタインの気配を感じ取ったAとルフィは、二人を睨みつけた。片方はこれから始まる面倒事に対して、片方は決闘を邪魔したことに関してだ。
そんな彼らに目もくれず、Mr.5は「こいつは返す」と今まで行方不明だったカルーを投げ捨てた。全身血まみれの姿でビビの目に放り出されたことで、ビビもまた彼らに対して睨みをきかせた。
「なぜあなた達が……!!? カルーには関係ないじゃない!!!」
「そうとも、この鳥には一切関係ねェ……!!! ただ、おれ達が危険視してにたのは、その“麦わらの男”。そいつと一緒にいる王女をおびき寄せるために、この鳥に鳴いてもらおうと思ったんだが……」
『鳴かなかったのか』
残念だったな、と呟いたAにMr.5は「そうでもねェさ」と腕を組んだ。
「見てみりゃ“麦わら”は勝手に動けなくなってた。だから、もうコイツに用はねェのさ……」
『外道な奴らだな。酒に爆弾を仕込んだのもあんただろ』
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作者名：ヒロ子 | 作成日時：2022年9月22日 19時
