“嘘つき”は神に祈る Ⅲ (ページ24)

今日:3 hit、昨日:3 hit、合計:33,505 hit

勝ちまくりモテまくりページ24

任務の失敗がどうのこうの、次はドジらないだのと喚く二人に紅茶を勧めたMr.3は、懐から手配書を手に取って見せる。あちらこちらに汚れや破損が見られる紙は、ある二人の男の顔写真を強調していた。

「実際、私もブッたまげた……私はこの島に来る機会を与えてくれた君らに、感謝のひとつもしたい今日この頃だガネ」

　独特な語尾を生やしたMr.3は、これが100年前の手配書であること、「巨兵海賊団」という巨人族の海賊団があったこと、そして彼らがその海賊団を率いていた“ドリー”と“ブロギー”という二人の頭であったことを悪どい表情を浮かべながら語った。

「当時の金額で1人頭、一億ベリー……!!! 2人で二億だ!!!!」

「「二億!!!?」」

「やっと事の重大さが分かってきたカネ」

　Mr.3は、やれやれとしながら紅茶を飲んだ。
　「それで、あの酒に爆弾をと……」とこぼしたMr.5は、Mr.3の考えにようやく頭が追いついてきたらしく、漠然としたまま口を開けた。

　暗殺リストに入っている王女ビビを合わせた5人の首と、二億の巨大な二つの首を持って帰ればMr.3の昇格は間違いないだろう。
　Mr.5の能力によって爆弾が仕掛けられたときから計画は順調に波に乗っている。A達は何も知らぬまま、彼の手のひらで踊らさせれいる状況だ。

「君らはただ、私の指示に従ってくれればいい。ちょっと工夫すれば、どんな山でも切り崩すことはできるのだガネ」

「あ……ああ、そうか……それで、リストに入った5人をどう始末するんだ」

「何を言ってるんだガネ、5人？ 4人の間違いじゃないのか」

　呆れた顔を浮かべたMr.3は、不思議そうな顔でこちらを見る二人にアンラッキーズから配られた似顔絵の中から1枚の絵を見せつける。葉巻を咥えた男の絵は、Aのものだ。

「この男は“生け捕り”とボスからの司令だ。暴れるようなら四肢を切り裂いてでも持ってこいと言っていたガネ」

「ボスから？聞いてないわよそんな話!!」

「任務に失敗した君らに教える義務はない。とにかく、こいつだけは殺さずに生かすガネ」

　何故なのか、そんなことを考える思考も放棄したMr.3はAの生け捕りを頭の隅っこに置くと、二億の首の写真を眺めた。
　今か今かと自分が二億の札束風呂に身を沈め、ボスに「よくやった」と言葉をかけてもらえることを望むMr.3。しかし、現実とはそう甘くはない──。