“嘘つき”は神に祈る Ⅲ (ページ13)

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最悪な日曜日ページ13

「さっき、そこで……Mr.8(イガラム)に会ったわよ？ミス・ウェンズデー……」

　そして、彼を海の底へと沈ませた張本人だ。

　ロビンは嘲笑うようにビビを見下ろす。対して、ビビは彼女のしてきた仕打ちを火種に、怒りの炎を燃やしていた。

　わざと自分を尾行させることでボスの正体を見抜かせ、正体を知ったことをボスであるクロコダイルに告げたロビン。何が目的なのかは不確かだが、彼女が敵なのは唯一確証を得る事実だろう。

『それで？嬢ちゃんの目的はなんだ？わざわざ社長の正体を知らせて、弄んだんだ。そこの王女様の命か？それとも、ただ性格が悪いだけか？』

「そうね……強いて言うなら、協力かしら」

　「本気でB・Wを敵に回して、国を救おうとしてる王女様が……あまりにもバカバカしくてね」。
　そう言った女の顔は、悪戯心を見せる子供のように口角を上げていた。

　当然そんなことを言われて王女様が黙っているはずがなく、「ナメんじゃないわよ!!!!」と、ビビは怒鳴り声を上げた。
　その一言で、甲板は殺気立つ。

　霧の中、目を細めたAは、靄と区別ができないほど薄い煙を吐き出した。

『ま、言いたいことは分かるが──やめろ、お前ら』

　ロビンに向けられた殺気は、刀、棒、銃、パチンコに変わる。ビビの身の危険を瞬時に感じ取ったゾロ、ナミ、サンジ、ウソップの三人は、ロビンに警戒心を抱く。

　Aが制止する声も届かぬ四人に、ロビンは呆れたようにため息をこぼした。

「そういう物騒なもの、私に向けないでくれる？」

　なんの予兆もなく、サンジとウソップが甲板へ振り落とされた。
　その光景を見たAは、言わんこっちゃないという顔で二人を見下ろした。

　クロコダイルと関係があるなら、当然ロビンのことも周知の事実というもので、Aは彼女の正体も能力も知っている。
　彼女の故郷である“オハラ”の学者達の命を奪いに行った男が、「何も知りません」では呆気にとられるというものだ。

「あなたが麦わらの船長ね、モンキー・D・ルフィ」

「お前、帽子返せ!! ケンカ売ってんじゃねェかコノヤロー!!!」

「そして、あなたが……A……」

『……』

　意味ありげに自分を見つめるロビンに、Aは威嚇という名の視線をぶつけた。
　A達が抹殺リストに乗った瞬間から、クロコダイルには目をつけられていることだろう。口を噤むロビンは、ご愁傷様という目でAを見た。