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寮に戻ればまだそこにはオーナーが居た。
「オーナー」
「帰ったか」
「まだ居たんだ？カジノ休みだからって暇しすぎじゃない？」
「怪しい奴はいなかったか？」
こっちの話を一切聞こうとしないオーナーに相変わらずだなぁと思う。この裏路地で怪しくない奴なんていないってわかってるだろうに。
「大体いつも通り。……あぁでも、"ちょっと良い人"なら居たよ」
「……どこで？」
「七番通りくらい。二番通りで別れたからここはバレてないはずだけど」
「……これ以降は誰も寮から出すな。寮長にも伝えておけ」
怖い顔をして寮の裏口から出ていくオーナーの後ろ姿を見送る。裏路地にいる良い人なんて、なにか裏があるとしか思えないよね。
ゾムさんは果たしてそこ抜けた馬鹿正直な良い人か、はたまた何か思惑があってここに来た人かどっちだろう。……まぁ人を殺しかけておいて馬鹿正直な良い人なわけないか。
私はその辺を歩いていた寮長に声を掛けて部屋に戻る。同室の子がバニー服を綺麗にアイロン掛けししているのを横目に、針を取り出す。
「糸買ったんだ」
「……うん」
「ズルいよねAは。身売りしなくてもお金稼げて」
そう吐き捨てるように言って部屋を出て行った。もう一人の同室の子が気まずそうに私を見て、同じように部屋を出ていく。三人部屋のこの部屋はたったそれだけで私だけになってしまった。
「……何がズルいの？身売りしなきゃお金を稼げない、自分の頭を呪えば？」
そう言う前に居なくなってしまった同室の子に対して、届かない言葉を送る。残念だけどもう慣れっこだ。身売りをしないバニーガールは給料が少ない。ほとんど出来高制だからだ。身売りの指名が入る度に指名料の半分は手に入る。身売りをしない子はチップだけが給料とは別の収入源になる。
私は、そのチップをイカサマで巻き上げる。本当はイカサマは裏カジノでもアウトだ。
それでも黙認されている理由はただ一つ、バレていないから。他の子はどれだけイカサマしようがバレてしまえば終わり。
「……明日も頑張ろ」
針に糸を通して、解れてしまったバニー服を綺麗に縫い直す。もうこの服も限界だ。新しい服を買わなきゃなぁ。
今持っているお金を頭の中で計算しながら、残るお金を数えた。
「……四百、足りないなぁ」
ため息は、部屋の中に吸い込まれた。
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闇ちょこ(プロフ) - 白尾…会社……？？えっっ…アッ、やめときますね！！((マフィアのイメージとか世界観が他の作品と全然違うので、新鮮でとても面白かったです！！完結おめでとうございます…！！ (2021年4月7日 13時) (
レス) id: c4d9600a7c (このIDを非表示/違反報告)
なのな(プロフ) - 完結本当におめでとうございます！お疲れ様です！ランドルせさんの長編小説ということで新鮮な気持ちでドキドキしながら読ませて頂きました。相変わらずとても内容が濃くて面白かったです……！！これからも期待しています！！頑張ってください！！！ (2021年4月6日 20時) (レス) id: cb0e93c590 (このIDを非表示/違反報告)
ランドルせ(プロフ) - ぴざるさん» 好みって言われるの嬉しいです！更新頑張ります！ (2021年3月28日 8時) (レス) id: 29ab01aaa3 (このIDを非表示/違反報告)
ぴざる(プロフ) - うぐっ…神作品に出合ってしまった…めっちゃ好みです更新頑張ってください (2021年3月28日 7時) (レス) id: 8f43ba0ff3 (このIDを非表示/違反報告)
ランドルせ(プロフ) - 雨音さん» コメントありがとうございます！ゆっくりめの更新になっていますが完結まで走りきろうと思いますのでよろしくお願いします！ (2021年3月20日 13時) (レス) id: 29ab01aaa3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ランドルせ
| 作成日時：2021年3月4日 19時
